欧州委員会は4月27日、2年間にわたる「カーボン・ファーミング(炭素農業)」の調査をまとめた最終レポートを発表した。他のEU助成プロジェクトからのインプットも踏まえ、2021年末までにカーボン・ファーミングに関するアクションプランを発表する。
カーボン・ファーミングは、農業を通じて土壌に炭素や窒素を固定させる量を増加し、温室効果ガス(GHG)の二酸化炭素排出量やメタン、一酸化二窒素の大気への排出を抑え、大気からの吸収を増進する手法。2004年に京都議定書が発効して以降、注目を集め、Verified Carbon Standard(VCS)でもカーボンオフセット効果の算出等が検討されてきた。
EUでは、2019年策定の欧州グリーンディール政策の中に位置づけられ重要性が増加。科学的にMRV(モニタリング・報告・認証)を確立し、EUの目標である2050年カーボンニュートラルの施策の一つとして進められることとなった。ビジネスモデルを普及させるため、2021年に「カーボン・ファーミング・イニシアチブ」も発足する予定。
今回発表されたテクニカル・ガイダンス・ハンドブックは、結果重視のカーボン・ファーミング・メカニズムの構想をまとめたもの。調査・検討は2018年から2020年まで2年間かけて行われた。「結果重視」の意味は、従来の共通農業政策(CAP)では、実施時点での内容を評価する体系だったが、実施時点ではなく結果にコミットさせる考え方をいう。2年間の調査では、EUの「LIFEプログラム」や欧州地域開発基金等で助成金をつけた実証も行ってきた。
同ガイダンスでは、炭地の回復と再湿潤、アグロフォレストリー、土壌での有機炭素(SOC)の維持・強化、草地でのSOCマネジメント、畜産農場の炭素監査の5つのポテンシャルを検討。その結果、二酸化炭素排出量の削減として有望であることがわかった。
グローバル企業の間では、リジェネラティブ農業への転換戦略が進行しているが、カーボン・ファーミング政策との親和性は高い。
【参照ページ】Commission sets the carbon farming initiative in motion
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