欧州非GMO産業連盟は5月26日、ゲノム編集技術に反対する小売企業イニシアチブ「小売企業の決意(Retailers' Resolution)」を発足。欧州小売大手が同イニシアチブに署名した。ゲノム編集技術は、従来型の遺伝子組換え技術(GMO)から区別する動きも出てきているが、早くも欧州の小売業界からはゲノム編集技術も、従来GMO技術と同様に忌避する動きが広がってきた。
同イニシアチブに署名した企業は、独小売大手ALDI、Lidl、SPAR、メトロ、レーベグループのBilla、ペニーマルクト、オーストリアのUnimarktグループ、Mpreis、フランスのTransgourmet等。特にドイツ企業の署名が目立つ。
GMOが、他の種の遺伝子を別の種の遺伝子に加える技術なのに対し、ゲノム編集は、遺伝子配列から特定の遺伝子だけを切断除去する技術であり、GMOと異なりリスクが低いと主張されている。
しかし、今回の声明では、2018年7月に欧州司法裁判所(ECJ)が、ゲノム編集技術で知られる「CRISPR/Cas」「TALENs」等の技術を活用した全ての製品は、従来型のGMO(遺伝子組換え作物)と同様に扱われると判断した判決に触れ、予防原則や透明性に関する義務を負っていると表明。ゲノム編集作物がEU市場で流通する前に、環境及び食品安全のリスク評価を受ける必要があると主張した。また、リスク評価方法の開示、バリューチェーン全体でのトレーサビリティの確保、当局の監督が必要とも伝えた。
その上で、仮に今後、ロビー活動により、ゲノム編集技術に関して規制緩和がなされ、なんらのラベル表示等もされなくなった場合には、小売企業は、最終消費者に最も近い存在であり、バリューチェーン全体の信頼性、品質管理システム、透明性が損なわれる危険があると警鐘を鳴らした。消費者の選択の自由を確保すべきと訴えた。特にオーガニック(有機)農業を強化している動きに逆行すると反発した。さらに動物飼料についても食品と同様の規制を求めた。
今回、署名企業は、3つをコミットした。
- 全ての販売製品の安全性に完全な責任を負う
- 全ての製品セグメントで完全な透明性と消費者の選択の自由を確保することが重要な価値の一つ
- 消費者はGMOを全く求めておらず、顧客の社会的、行動的、食品関連の潮流に非常に敏感になる
同イニシアチブは、引き続き署名企業を募集している。
【参照ページ】Retailers’ Resolution
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