韓国の文在寅大統領は5月21日、訪米し、米ジョー・バイデン大統領と首脳会談を実施し、米韓パートナーシップ声明を発表した。声明では、イノベーション、気候変動・再生可能エネルギー、新型コロナウイルス・パンデミック対策、外交・安全保障関係の4つの観点で合意に達した。
イノベーションでは、両国が、サプライチェーンの強化、デジタル分野でのリード、信頼性の高く価値志向でセーフガード機能も発揮するデジタル及びテクノロジーのエコシステムの構築にコミット。人権、民主主義、知的財産権保護の重視でも一致した。また具体的には、両国の大手企業が双方に総額250億米ドル(約2.7兆円)投資することを表明し、米韓の親密さを強調した。
また、半導体、AI、6Gネットワーク、量子コンピューティング、バイオテクノロジーを重点的に強化する姿勢も示した。また、6Gネットワークでは、「ダイバーシティ」を強調し、中国独占環境の打破を示唆した。サプライチェーンの強化では、「米韓サプライチェーン・タスクフォース」を設置する。日米の他、英国、カナダ、イタリア、オーストラリア、ルクセンブルク、アラブ首長国連邦(UAE)が署名している宇宙開発規範「アルテミス協定」に韓国が署名するとともに、米国が韓国のGPS衛星打ち上げに協力することでも合意した。
気候変動・再生可能エネルギーでは、両国は、2030年と2050年の双方の二酸化炭素排出量削減目標を歓迎し、2050年までに脱炭素化経済を実現していくことを確認。米国と韓国は、2050年までのカーボンニュートラルと整合性のある海外ファイナンスで合意し、発展途上国への支援で、「高炭素投資」から訣別し、官民のファイナンスを気候変動適合投資に転換していくと打ち出した。特に、炭素回収・利用・貯留(CCUS)が設置されていない一切の石炭火力発電については、海外への政府ファイナンスを禁止していくことで、経済協力開発機構(OECD)等の場で促していくことで一致した。韓国はすでに、海外の石炭火力発電支援を禁止済み。
【参考】【韓国】韓国電力公社、海外石炭火力発電への出資禁止を表明。フィリピンと南アのプロジェクトも中止(2020年10月26日)
また、自然を軸としたソリューション(NbS)に関する両国での情報交換、海洋プラスチック汚染対策での協力も確認。さらに、水素ストレージのR&D、電気自動車(EV)バッテリーの米国内製造、リチウムバッテリーのリサイクル、大規模の蓄電、洋上風力発電等の再生可能エネルギー発電所建設で、米韓間の大臣級対話の場を常設することでも合意した。
外交・安全保障面では、核不拡散の強化と協力のため、海外での原子力発電のサプライチェーン協力で一致。また原子力発電所設置国に対しては、国際原子力機関(IAEA)の追加議定書の批准を義務化していく共通外交政策を掲げた。インド太平洋地域でのIUU漁業対策も盛り込んだ。
【参照ページ】FACT SHEET: United States – Republic of Korea Partnership
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