韓国重工業大手の斗山重工業は5月23日、化学物質を使用せずに、廃バッテリーから炭酸リチウムを回収する技術の開発に成功したと発表した。電気吸着式の結晶化技術を通じて炭酸リチウムを抽出。硫酸等を使用する従来型の抽出方法よりコストが低く、汚染物質排出も少ない。同社は今回の技術で特許を出願した。
従来型のリチウム回収では、リチウム、コバルト、ニッケル等のの金属化合物の状態から、熱処理でリチウムと二酸化炭素を反応させ、炭酸リチウムに変換。その後、酸性の化学物質を活用した「酸浸出」と結晶化工程を経て、炭酸リチウムを抽出する。
斗山重工業が開発した技術では、熱処理の後に蒸留水でリチウムを選択分離した後に、電気吸着式の結晶化技術で炭酸リチウムを抽出するという手法。同社は、2021年後半から事業を本格化させ、年間1,500tのバッテリー処理能力を確保し、純度99%の炭酸リチウム回収を目指す。
同社は5月13日には、国営の韓国水力原子力発電(KHNP)との間で、グリーン水素の生産で協業する業務提携を発表した。将来的には、原子力の小型モジュール炉(SMR)と、海外からのクリーンエネルギーを使用した水素製造技術および関連プロジェクトの共同開発を行う。
また同社は5月11日には、韓国RevoTechと提携し、廃プラスチックを熱分解して生成したガスから、水素を製造する設備の開発に着手したと発表した。RevoTechは、廃プラスチックを原材料を連続的に投入するができる「連続熱分解」技術を持つ。
石油成分を原料とするプラスチックは、原理的には化石燃料改質と同じプロセスで水素を抽出できる。但し、生成過程で二酸化炭素排出量が発生するため、発生した二酸化炭素を回収しなければならない。斗山重工業は2021年中に日量0.3tの水素生産設備を開発しており、慶尚北道聞慶市にあるRevoTechの敷地内に設置する予定。将来的には日量3t以上の生産能力にまで拡張する。
【参照ページ】두산중공업, 폐배터리에서 리튬 추출하는 친환경 기술 개발
【参照ページ】Doosan Heavy and KHNP Teaming Up for Hydrogen Business
【参照ページ】Doosan Heavy Industries & Construction Venturing into the Production of Hydrogen from Waste Plastic
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