シンガポール金融大手DBS、シンガポール証券取引所(SGX)、英スタンダードチャータード、テマセクの4社は5月20日、国際的なカーボンクレジット取引市場「クライメート・インパクトX(CIX)」を開設すると発表した。企業のカーボンニュートラル宣言により、自発的なカーボンクレジット購入意欲が高まってきたことが背景。取引所でアジアのハブ、世界のハブを目指すシンガポール市場で、企業が自発的に市場開設に動き出した。
CIXは、取引所の信頼性を高めるため、高い上場基準を設定する考え。人工衛星モニタリング、機械学習、ブロックチェーン技術等を活用し、カーボンクレジットの品質や透明性を確保する。
CIXによると、再生可能エネルギーの普及が進み、二酸化炭素排出量の削減が進む中、それでも3分の1の排出量は残存してしまう。他の技術開発にも時間を要するため、短期的にはカーボンクレジットを活用したカーボンオフセットでの削減需要が高まると判断した。自発的な二酸化炭素取引市場の規模は、2030年までに現状の5倍となる二酸化炭素排出量1.5Gtから2Gtにもなるという。2021年末までに営業を開始する計画。主要顧客はグローバル企業や機関投資家を想定。
取扱いのカーボンクレジットの対象は、当初は、植林や湿地保護等の「自然気候ソリューション(NCS)」を予定。NCSは、コスト効率が良く、環境に効率的にインパクトを起こせることが理由。すでに、クレジットの認定機関との独立レーティング制度に関した協議も行っている。自発的炭素取引市場創設の国際イニシアチブ「自発的炭素市場拡大に関するタスクフォース(TSVCM)」や、世界経済フォーラム(WEF)のNatural Climate Solutions Allianceとも連携している。
【参考】【国際】国際タスクフォースTSVCM、大規模な自発的炭素取引市場の創設を提言。マーク・カーニーが創設者(2021年1月29日)
【参照ページ】DBS, SGX, Standard Chartered and Temasek to take climate action through global carbon exchange and marketplace
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