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【国際】G7気候・環境相会合、気候変動、生物多様性、幅広い環境テーマでコミットする共同宣言発表

 英国政府が議長国を務めるG7気候・環境相の会合が、5月21日開催され、新型コロナウイルス・パンデミックからの経済回復において、気候変動、生物多様性、環境を中心に据える共同宣言を採択した。英アロク・シャーマ・ビジネス・エネルギー・産業戦略相兼COP26担当相が議長務め、日本からは、梶山弘志・経済産業相と小泉進次郎環境相が出席した。またG7以外からも、インド、オーストラリア、南アフリカ、韓国の大臣も招かれた。

 今回の共同声明では、気候変動と生物多様性喪失の2つを喫緊の重要テーマと位置づけた上で、2030年までに領土の30%以上を自然保護区に設定する「30x30」イニシアチブと、気温上昇を1.5℃に抑えるため2050年までにカーボンニュートラルを実現するG7諸国のコミットメントを確認した。

 エネルギーに関しては、再生可能エネルギーの開発と導入を著しく進捗させ、大規模導入により技術開発をさらに進める好循環を実現させ、そのための法規制や政策を導入していくことを確認。再生可能エネルギーについては、電力だけでなく、熱源についても内容に含めた。再生可能エネルギーの展開では、マーケット主導のコスト削減とイノベーティブな市場設計がカギとした。電化が進んでいない発展途上国でも、再生可能エネルギーのコストを下げることで、エネルギーアクセス確保させていくことを掲げた。

 石炭火力発電では、温暖化の最大の要因と指摘し、炭素回収・利用・貯留(CCUS)なしの石炭火力発電を段階的に廃止することを加速することで合意。電源全体も2030年代に圧倒的規模で脱炭素化させることでも合意した。その上で、影響を受ける労働者、地域・コミュニティに対し支援を提供していくことも確認した。現在、日本の経済産業省を含めた21ヶ国政府が「COP26エネルギー・トランジション協議会」を発足しており、雇用転換について議論されていることも歓迎した。さらに、石炭火力発電分野での国際協力では、1.5℃目標と整合性のない炭素回収・利用・貯留(CCUS)なしの石炭火力発電への政府による海外支援を2021年末までに廃止することでも一致した。海外支援には、政府開発援助(ODA)、輸出金融、投資、金融・投資促進等の全ての政策が含まれる。またG7諸国だけでなく、他の経済主要国にも同様のコミットを求めていくことでも合意した。これに関し、日本政府は、現行の政策を変える必要はないと説明。日本政府としては、水素とアンモニアの混焼及び将来に向けた専焼を「絵」とすることで、1.5℃目標と技術的な整合性のあることを対抗ロジックとして用意してきている。但し、水素とアンモニアの専焼が経済的にどこまで進むかは極めて不透明。

 石炭を含めた化石燃料全体では、不要な化石燃料補助金が、資源の無駄な消費、エネルギー安全保障の劣化、再生可能エネルギーへの投資妨害、気候変動の脅威に対する対策努力を阻害すると宣言。世界中全ての国に、不要な化石燃料補助金を2025年までに廃止することを求めていくことでも一致した。他にも、エネルギー業界でのメタン漏出、廃棄物処理セクター、農業セクター、顔料として使われるブラックカーボン等の他の分野でも早急な対策アクションを採る重要性も確認した。

 蓄電では、カーボンニュートラル経済への転換を実現させる技術と位置付けた上で、技術イノベーションと、民間セクターによるコスト削減と性能改善を支援していくため、政策等を整備していくことにコミット。さらに、炭素排出量取引市場やカーボンプライシング制度が、二酸化炭素排出量の削減を強化し、イノベーションを促進し、技術のブレークスルーを促すことも確認し、自発的な市場も含めて、排出量取引制度を高い次元で国際的に融合させていくことも謳った。そして、1.5℃目標を達成するために、民間金融を活用するためにも、カーボン・リーケージ・リスク、社会や生物多様性への悪影響、事態に逆流を防ぐための措置を求めていくことでも一致した。

 原子力発電では、共同声明では、「原子力発電の活用を選択する国は」と限定した上で、エネルギーミックスにおける原子力発電の重要性を、低炭素エネルギーとエネルギー安全保障の観点から確認した。どの国がこれに該当するかは明記していない。

 重工業では、鉄鋼、セメント、化学、石油化学等の現行技術では排出削減の難易度が高いセクターに関しては、イノベーション基金等を創設し、脱炭素化技術のコスト削減を促していくことを掲げた。内容には、水素使用、電化、持続可能なバイオマス、CCUS、アンモニアや水素活用の合成燃料を挙げた。

 その他、生物多様性では、英政府が発表した「ダスグプタ・レビュー」を歓迎し、企業や金融の意思決定の中で、生態系プロセス、相互作用、経済活動が生態系に与える影響を深く理解することを確保するための緊急アクションにコミットすると宣言。将来の感染症対策を見据え、抗生物質による薬物耐性が人体、動物、生態系に与える影響を軽減するための政策を打ち出していく方向性も示した。森林破壊、海洋環境汚染、食品廃棄物・食品ロスでも政策強化を訴えた。

【参考】【イギリス】政府、生物多様性と経済の包括分析レポート「ダスグプタ・レビュー」発表。今後政策化(2021年2月8日)

【参照ページ】G7 Climate and Environment: Ministers’ Communiqué

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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