国際エネルギー機関(IEA)は5月18日、世界全体で2050年カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を実現するための、初の包括的なエネルギー分野でのロードマップを提示した。エネルギーの生産、輸送、消費で大規模な転換が必要なことがわかった。
IEAは2020年10月、「世界エネルギー見通し2020」の中で、2050年カーボンニュートラルを実現するためのシナリオ「NZE2050」を初めて提示。今回のロードマップでは、さらに内容を詳細に分析し、電力・エネルギー、重工業、交通・輸送、不動産の4分野で公表した。
【参考】【国際】IEA、「世界エネルギー見通し2020」発表。新型コロナでの環境変化受け、新たに4シナリオ提示(2020年10月21日)
今回のロードマップでは、
- 2021年:石炭及び石油・ガスの新規開発・拡張停止、炭素回収・利用・貯留(CCUS)なしの石炭火力発電の新規開発停止
- 2025年:化石燃料ボイラーの新規販売禁止
- 2030年:世界の乗用車新車販売のEV・FCV比率60%、新規建設不動産は100%カーボンニュートラル型へ
- 2035年:世界の乗用車新車販売のEV・FCV比率100%、世界の大型トラックのEV・FCV比率50%、先進国では電力のカーボンニュートラル化
- 2040年:航空機の低炭素燃料化50%、世界全体で電力カーボンニュートラル化、CCUSなしの石炭火力・石油火力の廃止
- 2050年:世界の太陽光発電と風力発電の発電割合70%、世界の不動産の85%がカーボンニュートラル型、重工業の90%が低炭素燃料
(出所)IEA
ロードマップに示されているEVには、プラグインハイブリッド車(PHV)は含まれるが、ハイブリッド車(HV)は含まれない。またプラグインハイブリッドについても、乗用車、大型車、二輪車・三輪車の全ての分野で、市場シェアが非常に小さいままの割合となっている。FCVに関しては、2030年頃から市場シェアが大きく拡大していく。特に、日次走行距離が400kmを超える車両では、FCVが主力になるとの見方も示した。
(出所)IEA
今回のロードマップ策定では、企業や金融機関もピアレビューを実施。日本からは三井物産のみが参加。経済産業省(METI)は、ロードマップの「確認者」リストに入っている。
【参照ページ】Pathway to critical and formidable goal of net-zero emissions by 2050 is narrow but brings huge benefits, according to IEA special report
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