みずほフィナンシャルグループは5月13日、サステナビリティアクションの強化を発表。その中で、石炭火力発電所向け融資残高削減について、2050年に残高ゼロとしていた目標を2040年に前倒しした。これにより、2040年以降に融資残高が残る国内外の石炭火力発電については融資ができなくなる、もしくは2040年以降に融資資産を売却することになる。
【参考】【日本】みずほFG、TCFDレポート発表。邦銀初。移行リスク最大3100億円、物理的リスク最大520億円(2020年5月22日)
【参考】【日本】みずほFG、メガバンク初の石炭火力新設投融資禁止表明。MUFG、SMFGとの比較含め解説(2020年4月15日)
石炭火力発電に関しては、2020年4月に発表していた例外規定を一部削除。「運用開始日以前に支援意思表明済みの案件」については、ファイナンス対象としていたが、今回全ての案件を対象とした。但し、「当該国のエネルギー安定供給に必要不可欠であり、且つ、温室効果ガスの削減を実現するリプレースメント案件については慎重に検討の上、対応する可能性があります」という例外規定は残存。
また一般炭(石炭)採掘では、従来からMTR(山頂除去)型の炭鉱採掘のみをファイナンス禁止としていたが、今回、新規の一般炭採掘を全面的に禁止の対象とした。但し、「既存の炭鉱採掘(一般炭)を資金使途とする案件については、パリ協定と整合的な方針を表明している国のエネルギー安定供給に資する案件に限り、慎重に検討の上、対応する可能性あり」と、こちらでも例外規定を設けた。
石油・ガスでは、北極圏での石油・ガス採掘事業、オイルサンド、シェールオイル・ガス事業へのファイナンスでは「適切な環境・社会リスク評価」を今回盛り込んだが、禁止には踏み込まなかった。
その他、気候変動に関する財務影響シナリオ分析では、6月までに、海外の電力業界、石油・ガス・石炭業界、国内と海外の自動車業界での移行リスクの分析する。国内の電力業界と石油・ガス・石炭業界の分析はすでに発表済み、さらに、物理的リスクでは、前回実施した急性リスクだけでなく、慢性リスクの分析も、熱中症と感染症のリスクに限って行う。慢性リスクの影響の大きい農業・食品業界については言及していない。
大規模水力発電でも、環境破壊や先住民族の権利を、大豆等の大規模農園では、「NDPE(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)」等の環境・人権への配慮を定めた方針の策定や、地域住民等への「FPIC(自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意)」の尊重を求めるとした。パーム油では、RSPO認証取得を必須とし、RSPO認証取得に期間を要する場合は、充足に向けた期限付きの計画策定を要請することを明記した。
【参照ページ】サステナビリティアクションの強化について
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