小売世界大手英テスコは5月5日、商品の健康に関する戦略を拡大したと発表した。同社は3月にも、主力市場の英国とアイルランドでの包括的な商品健康戦略を打ち出していたが、機関投資家からアクションが不十分とする集団的エンゲージメントとがあり、チェコ、スロバキア、ハンガリーの中欧市場でも商品健康目標を設定することとなった。
【参考】【イギリス】テスコ、健康食品提供に向けた2025年目標を発表。英糖尿病学会ら協働。株主提案に対応(2021年3月10日)
今回、中欧市場向けに発表した内容は、英国・アイルランド市場と同じく、2025年までに代替肉の売上も300%増加。また栄養成分を変更し栄養的なPBブランドも立ち上げる。2022年までに英国・アイルランド市場と同様に、適切な栄養目標手法やターゲットを策定し発表する。
テスコは今回、英国・アイルランド市場では、英国政府の栄養基準を基に目標を設定したが、中欧市場ではチェコ、スロバキア、ハンガリーでの適切な栄養基準を独自に開発する必要があると伝えた。
またテスコが2017年に買収し傘下に収めた英卸売・小売大手ブッカーも今回、商品健康目標を設定した。ブッカーは、テスコ向けの事業では卸売の役割を担っている。卸売企業としての栄養目標設定は異例。内容としては、小売企業が栄養水準の高い商品を選択できるよう、商品ラインナップの拡充や商品表示強化を定めた。
具体的には、
- 販売先企業向けにレシピマネジメント、アレルギー、栄養ツールを提供するオンラインポータルを開設
- 植物由来食品のを提供
- ブッカーの小売事業でも、テスコのポリシーに準拠し栄養情報を商品ラベル添付を実施
- 商品の栄養プロファイルを随時見直し、全ての品目で健康的な代替商品を提供する
同社に対しては2月、英ESG投資推進NGOのShareActionや機関投資家7団体、個人投資家101人から、売上に占める健康的な食品の割合を高める目標設定を行う株主提案を受けた。背景には、英小売大手セインズベリーやマークス&スペンサーが同様の目標を設定しているにもかかわらず、テスコに同目標が設定されないことがあった。ShareActionは、2020年6月にも年金基金NestやEQ Investorsと協働で、テスコに同様の同株主提案を行っていた。
【参考】【イギリス】ShareAction、テスコに対し健康的な食品売上割合増の株主提案。FTSE100企業で初
ShareActionは、テスコが3月に目標を発表した後も、エンゲージメントを継続。英国・アイルランド市場以外でも、他のグループ企業でも栄養目標を設定することを要求していた。今回、双方が合意に達し、新目標が設定。ShareActionは株主提案を取り下げることを決めた。
テスコは、タイとマレーシアでも、「Tesco Lotus」ブランドで、タイで約1,900店舗、マレーシアで50店舗を展開していたが、2020年にタイのCPグループに80億ポンド(約1.1兆円)で売却することを決めている。両国での従業員は6万人。
計画の承認でCPはテスコが展開していたタイの約1900店舗、マレーシアの約70店舗をそれぞれ手にする。
【参照ページ】Tesco extends ambitious new health commitments to Central Europe and Booker
【参照ページ】Tesco makes further health commitments in response to investor engagement
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