住友商事は5月7日、石炭火力発電事業について、2020年8月に発表していた新規開発の禁止だけでなく、建設工事請負も禁止を表明。さらに2040年代後半までには石炭火力発電に関する全ての事業から撤退すると表明した。但し、一部例外措置を設けたことで、NGOは同社の姿勢を批判している。
【参考】【日本】住友商事、石炭火力発電と一般炭鉱山の新規開発を原則禁止。バンフォンは着工(2019年8月30日)
今回の発表は、同社としての気候変動問題に対する方針を見直した上で、気候変動緩和に向けた中長期の目標を発表したもの。同社の2019年時点の発電事業のポートフォリオは、石炭火力発電50%、ガス火力発電30%、再生可能エネルギー20%。そして現在の目標では、2035年時点で石炭火力発電30%、ガス火力発電40%、再生可能エネルギー30%に転換するとしていた。さらに今回の新目標では、2035年時点で、石炭火力発電20%、ガス火力発電50%、再生可能エネルギー30%とし、石炭火力発電の割合を下げた。
石炭火力発電事業では、2035年までに二酸化炭素排出量を2019年比で60%以上削減し、2040年代後半には石炭火力発電事業から撤退する。発電事業全体では、20305年までに二酸化炭素排出量を40%削減する。
加えて、一般炭(石炭)採掘事業でも、現状の新規開発禁止に加え、2030年には一般炭鉱山の持分生産量をゼロにするとの新目標を設定した。
但し、すでに建設請負工事の入札を検討しているバングラデシュのマタバリ石炭火力発電所3号機と4号機については、「唯一の例外」とし、日本政府やバングラデシュ政府と協議した上で、継続する含みをもたせた。これについて、環境NGOの「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、気候ネットワーク、Friends of the Earth(FoE)Japan、350.org Japan、メコン・ウォッチ、マイティ・アースの6団体は、住友商事に対して、マタバリ3&4号機の建設請負工事の入札に参画しないよう要求する声明を発表した。
【参考】【日本】環境NGO、JICA債保有者と主幹事に要請書。JICAの石炭火力発電2ヶ所の支援停止で(2021年3月25日)
また住友商事は、発電事業以外も含め、「2050年の事業活動のカーボンニュートラル化と、持続可能なエネルギーサイクル実現への挑戦」をも掲げた。中期目標としては、2035年までに二酸化炭素排出量を50%以上削減する。再生可能エネルギーでは、2020年時点で1.5GWの権益を2030年までに3GW以上に高める。
【参照ページ】「気候変動問題に対する方針」の見直しについて
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