ドイツのオーラフ・ショルツ財相とスベ―ニャ・シュルツェ環境相は5月5日、同国のカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)の達成時期を2050年から2045年に5年前倒しする政策を発表した。今後、政府内で調整し、国会での審議に入る。
ドイツ連邦政府は2019年に「気候保護法」を制定。EUでの合意に基づき、二酸化炭素排出量を2030年までに1990年比55%減、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを法定目標としていた。
しかし、同法に対し、環境NGOのFridays for Futureの活動家らが違憲訴訟を実施。4月、ドイツ憲法裁判所は、2031年以降の目標については、二酸化炭素排出量の削減に関する内容が十分考慮しないとし、同法の一部を「若年者の自由を侵害としている」と違憲判断を下した。また同裁判所は連邦議会に対し、2022年末までに違憲状態を脱するよう要求し、連邦政府はすぐに法改正作業を進めると表明していた。
今回、シュルツェ環境相は、2045年カーボンニュートラル目標は、科学と未来の世代の利益の観点から設定したと話し、目標は十分野心的だが、達成可能と表明した。
ドイツ環境省は5月6日にも矢継ぎ早にアクションを発表している。まず、ドイツ中小企業協会が実施する中小企業向け気候変動対策コンサルティング・プロジェクトに200万ユーロ(約2.6億円)の助成を決定。対象企業は1,000社で合計で2年以内に5万tの二酸化炭素排出量削減を目指す。また、温室効果のあるフッ素系温室効果ガス(F-ガス)の規制強化も発表。EU域外から輸入されたフッ素化ガスをドイツ国内で購入・再販売することを禁止する政策方針も示した。
さらに、テイクアウト食品を提供する外食企業や、フードデリバリー企業に対し、2023年から再利用可能な容器での食品提供を義務付けることも表明。使い捨て飲料容器についても例外なくデポジット課金制度の対象にすることも発表した。2025年からはペットボトルでは、25%以上再生素材を含有することも義務付ける。
ドイツ連邦政府は5月5日、ドイツ・サステナブルファイナンス戦略も閣議決定し、EUタクソノミーに基づき、ドイツとしてのタクソノミーも決定。この中で、原子力発電は「サステナブルファイナンス」の対象から除外。原子力発電は、放射性廃棄物の観点から、持続可能でなく、もはや経済的な実行でもなく、原子力発電推進の違憲は、サステナブルファイナンス政策の信頼性を損なうものと厳しく批判した。
ドイツ・サステナブルファイナンス戦略はその他、ドイツ連邦政府からの公的投資拡大、ドイツ連邦グリーンボンドの発行によるグリーンボンド市場活性化、企業と金融商品の情報開示強化等の内容を盛り込んでいる。
【参照ページ】Statement von Bundesumweltministerin Svenja Schulze zum neuen Klimaschutzgesetz
【参照ページ】"Klimaverbund Mittelstand" bringt Klimaschutz-Know-how in die Unternehmen
【参照ページ】Bundestag verschärft Regeln gegen den illegalen Handel mit fluorierten Treibhausgasen
【参照ページ】Schulze: Mehrweg soll neuer Standard für To-go-Verpackungen werden
【参照ページ】Weichenstellung für die Finanzwirtschaft: Klimaschutz und Nachhaltigkeit als Leitmotiv
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