デンマーク電力大手オーステッドは3月31日、オランダの北海港に、2030年までに1GWの洋上風力発電所を電源としたグリーン水素工場を建設するビジョン「SeaH2Land」を発表した。沿岸部には世界最大のグリーン水素生産基地も設ける。実現するとオランダとベルギー・フラマン地方の水素需要の20%をグリーン水素に転換できる。
同社によると、オランダーとベルギー・フラマン地方の工業地帯は、欧州最大となる年間58万tの水素需要がある。2050年までに需要は100万tにまで拡大する見込み。現在は、化石燃料を改質した水素が供給されいているが、グリーン水素に換算すると2050年には10GWの水電解が必要となる。
そこでオーステッドのビジョン「SeaH2Land」では、オランダ沖に2GWの洋上風力発電所を建設し、基地とつなぐ計画。基地はエスコー川の川沿いが有力候補として挙げられている。グリーン水素生産では、まず第1フェーズで、500MWの水電解設備を整備し、第2段階では1GWにまで拡大。また、ゼーラント製油所で計画されている150MWの電解槽にも接続する考え。
生産した水素は、パイプラインを通って地域の各工場へ送られる。現在、オランダのゼーラント州から、ベルギーのオースト=フランデレン州にかけ、一帯の工業地帯が「スマート・デルタ・リソーシーズ(SDR)」パートナーシップを締結。約45kmのオープンアクセスのパイプライン網を整備し、オランダの北海港からベルギーのゲントまでをつなぐ計画を進めている。ルート上には、製鉄大手アルセロール・ミタル、肥料大手ヤラ・インターナショナル、化学大手ダウ、そしてトタルとルクオイルが合弁で運営するゼーラント石油精製所がある。
現在、ヤラ・インターナショナルと、ゼーラント製油所は、それぞれ事業所内で中規模のグリーン水素生産の計画を発表しており、化学大手ダウも、世界で初めてガスパイプラインを水素パイプラインに転換したパイプラインを通じてヤラ・インターナショナルに水素を供給している。これらが一体となってパイプライン網を形成すると、巨大な水素ネットワークが誕生する。
また今回の構想では、380kVの高圧送電網を整備し、洋上風力発電からグリーン水素工場までの開発を可能にすることも含まれている。
現在、SeaH2Land構想は、ゼーラント州及びオースト=フランデレン州の両政府からの支持をとりつけ、送電大手との協議に入っているという。オランダ位政府は現在、2030年までにグリーン水素の生産能力を3GWから4GWまでの規模にする政策を掲げており、SeaH2Landは大きな追い風となる。
(出所)Orsted
【参照ページ】Ørsted to develop one of the world’s largest renewable hydrogen plants to be linked to industrial demand in the Netherlands and Belgium
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