自動車部品世界大手独ボッシュは4月22日、AIや燃料電池自動車(FCV)を主軸とする将来戦略を発表した。テクノロジー進化やカーボンニュートラル潮流を前に、内燃機関も含め自動車部品を手掛けてきた同社も大きな戦略転換に迫られている。
AIに関しては、AIとIoTを組み合わせたAIoTのリーディングカンパニーになると宣言。コネクッテド系デバイスは2020年の販売も2020年の400万個から2021年には800万個にまで伸ばす。また、AIをカスタマーエクスペリエンスにも組み入れ、渋滞時の車両位置把握や、将来的には事故検知等にも役立てる。
水素では、EUが進めるグリーン水素市場は2030年までに年成長率65%で、400億ユーロ(約5.2兆円)市場になるとし、同社も2021年から2024年までの4年間で10億ユーロ(約1,300億円)を水素関連技術開発に投入。燃料電池からの電力供給基地を100ヶ所以上に設置し、データセンター、工場、住宅等に給電する。バンベルクに建設している固体酸化物形燃料電池(SOFC)の送電基地も2021年3月末までに運転を開始する。
燃料電池では同社は4月17日に、中国の高級トラック生産大手の慶鈴汽車との共同で、中国・重慶市に合弁会社「ボッシュ水素パワートレイン・システムズ」を発足することも発表している。中国市場向けの燃料電池モジュールを生産し、構成部品はボッシュの無錫工場から供給し、組立を行う。2020年中に小規模での生産を開始するとともに、慶鈴汽車のトラック70台に搭載し走行試験も行う。モジュールの正式販売は2022年から2023年を予定。燃料電池モジュールの市場は、2030年末までに180億ユーロ(約2.3兆円)にまで拡大すると睨む。
建築資材の分野では、EUが進めるグリーン水素市場の急進を視野に入れ、2020年に売上が2倍に伸びたヒートポンプを、2025年までにさらに3倍にまで拡大する。今後、不動産からの二酸化炭素排出量削減でさらにヒートポンプが追い風になるとし、量産規模拡大に向けた投資も行う。
カーボンニュートラルに向けても、同社は2030年までにスコープ3で2018年比15%の削減を目標として設定済み。サプライヤーや物流事業者に対し、カーボンフットプリントが将来の取引基準になることも明言した。但し、内燃機関部品が全廃される傾向には警鐘を鳴らし、再生可能燃料を活用した内燃機関方のゼロエミッションも選択肢に含められるべきだと主張。EUの政策に苦言を呈した。
【参照ページ】Bosch believes AIoT, electrification, and green hydrogen are the way forward
【参照ページ】Emission-free mobility: Bosch and Qingling Motors cooperate on fuel cells
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