航空世界大手米デルタ航空は4月22日、「二酸化炭素排出量削減」「ステークホルダー・エンゲージメント」「サプライヤー等との協働」の3分野を柱とするサステナビリティ戦略を発表した。同社は2月、2030年までの全事業での二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を目標として宣言していた。
【参考】【アメリカ】デルタ航空、2030年に事業全体でのカーボンニュートラル宣言。世界初(2020年2月27日)
二酸炭素排出量削減では、燃料効率が25%高い機体200機への切り替えを実施。2020年には、利用可能な座席あたりの燃料効率を2019年比6%改善した。同社は、2030年までに燃料の10%を持続可能な航空燃料(SAF)に切り替える目標を掲げており、将来的にはSAFを年間2.6億l購入する契約も合意済み。2024年には、米バイオ燃料Gevoから1,000万l、2025年には、米バイオ燃料Northwest Advanced Bio-Fuelsから6,000万lのSAFも購入予定。同購入量は、同社の2019年の年間燃料消費量の1.7%に相当する。
SAFの調達については、現時点で商用規模での供給量が不足している市場の課題を指摘。SAFの2020年の供給量は、新型コロナウイルス・パンデミック以前の同社の燃料消費量に換算すると1日分にしか満たず、今後投資を加速させる必要があると述べた。
また同社は、カーボンニュートラル型の航空を実現するには、SAF以外にも、炭素回収・貯留(CCS)とともに、電動型航空機や燃料電池航空機、水素燃焼駆動型航空機等の分野にも投資していくと表明。CCSでは、直接大気回収(DAC)技術はスケール化のポテンシャルがあり、また回収した炭素から合成燃料を生産できる可能性があることも指摘。一方、電動型等の新型航空機については、実現までには時間がかかるため、提携等をしながら道を模索する。
直近での二酸化炭素排出量削減では、カーボンオフセットや森林保全に投資する。2020年3月1日から12月31日にかけては、カーボンオフセットに3,000万米ドル(約33億円)を投じ、二酸化炭素1,300万tを削減した。森林保全では、インドネシアとカンボジアで森林2,203km2以上の保護を行い、二酸化炭素を年間500万t削減した。森林保全プロジェクトの多くでは、「REDD+」認証も取得している。
ステークホルダー・エンゲージメントでは、アパレル世界大手米NIKEや監査法人世界大手デロイトと協働。従業員出張において、SAFを使用する契約を締結した。また4月22日には、同様の契約を武田薬品工業の出張とも締結。同SAFは、フィンランド石油化学大手ネステが製造する。
【参考】【アメリカ】デロイト、出張でのCO2削減でデルタ航空のSAFプラン契約。最大8割減(2021年3月6日)
サプライヤー等との協働では、業界内外とのパートナーシップを計画しており、第2四半期に発表予定。例えば、米マサチューセッツ工科大学(MIT)主導のリエゾン・プログラムを通じ、航空業界の環境インパクトの定量化や、長期視点での業界イノベーション創出支援を進める。
【参照ページ】Delta spotlights ambitious carbon neutrality plan on path to zero-impact aviation this Earth Month
【参照ページ】Delta and Takeda partner to reduce 2021 aviation emissions via sustainable fuel agreement
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