持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は4月27日、英環境プロジェクトValuing Natureと協働し、企業自然資本会計の検討の方向性をまとめたレポートを発表した。WBCSDでは、欧州委員会の「LIFE」プログラムの一つとして進めれている環境情報開示プロジェクト「Transparent」向けに今回のレポートを仕上げた。
今回のレポートは、金融機関や企業の間で関心が高まっている自然資本会計の手法について、企業インタビューを基に、重視すべき要件を整理し、スタンダード策定に向けた検討をまとめたもの。インタビューを受けた企業は、ネスレ、BASF、DSM、フィリップス、ABNアムロ、ケリング、ラファージュホルシム、ノバルティス、オーラム・インターナショナル、ナチュラ。
自然資本に関する測定や開示を企業が行うメリットとしては、戦略意思決定、サプライヤーや原材料の優先順位判断、製品開発やイノベーションでの価値測定、事業と社会的価値の整合性、外部性コストの内部化、ステークホルダーからみた事業の魅力訴求等を挙げた。算出すべきコストしては、損失コスト、緩和コスト、リスク深刻度、市場価格や税、減価償却、内部化したコスト算出等、多様な観点があることを伝えた。
また、既存の自然資本会計の分野で活動している団体やイニシアチブについても整理。マルチステークホルダー型の検討ボード、自然科学の研究機関、フレームワーク策定機関、算出メソッド検討機関、価値測定ファクター検討機関の5分類があるとまとめた。
今後の提言としては、バチューチェーン全体をとらえた上で、インパクト経路、価値評価手法、会計ルールの3つを定める必要があると指摘。また、ライフサイクルアセスメント(LCA)やインプット-アウトプット(IO)モデルとの整合性も考慮すべきとし、さらに企業の意思決定に活用できるものにすべきとも伝えた。
【参照ページ】Corporate natural capital accounting – understanding challenges and pursuing standardization opportunities
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