金融インデックス開発世界大手米MSCIは4月23日、機関投資家と企業の双方に対しカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)に向けた世界経済革命を求める提言レポートを発表した。2050年カーボンニュートラルに向け、総力を挙げるべきと伝えた。
MSCIによると、MSCIの先進国・新興国株式指数「MSCI ACWI IMI」のカーボンフットプリントは、年間11.2Gt。このままでは2050年までに16.8Gtnまで増加し、気温上昇は3.5℃から4℃上昇のペースとなる。
同レポートでは、まず、アセットオーナーに対し、気温上昇を2℃より十分低いレベルに抑え、2050年カーボンニュートラルを達成するためには、アセットオーナーの投資運用カーボンフットプリントを、毎年約10%の総量削減が必要と指摘。そのためには、戦略的なアセットアロケーションとリスクマネジメントが必要になると伝えた。また実現に向け、集団的エンゲージメントを多用すべきと伝えた。
運用会社に対しては、アセットオーナーの戦略を支持し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインに沿うリスクマネジメントと情報開示を整備すべきとした。また、気候変動ストレステストや気候変動ベンチマークに関する能力開発も必要とした。その上で、議決権行使とエンゲージメントを行い、企業のカーボンニュートラルを推し進めるよう求めた。
また銀行と証券会社に対しても、金融仲介としての重要な役割を負っていると指摘。起業家やイノベーターに資金を供給することで、クリーンエネルギーの発明とスケールアップを支援すべきとした。また銀行は、融資先の気候変動リスク対策を支援するサービスを展開すべきとも求めている。
そして全ての企業に対しては、自社だけでなくバリューチェーン全体での2050年までのカーボンニュートラルを宣言し、整合性のある形に資金の使い方を変えるよう要求。それに向け、原単位ではなくできる限り総量での削減目標設定を求めた。
MSCI自身は、4月19日に2040年までのカーボンニュートラルをすでに表明済み。取引先にもカーボンニュートラルに向けてエンゲージメントすることも宣言している。
【参照ページ】The Role of Capital in the Net-Zero Revolution
【参照ページ】MSCI commits to net-zero prior to 2040
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