決済世界大手米マスターカードは4月12日、スウェーデン・フィンテック企業Doconomyと協働し、クレジットカード使用者の購買行動に伴う二酸化炭素排出量(カーボンフットプリント)測定ツール「マスターカード・カーボン・カルキュレーター」を開発した。
【参考】【スウェーデン】気候変動対応型クレジットカード登場。フィンテックDoconomyの「DO」(2019年5月3日)
同ツールのデータは、APIを活用し、銀行のモバイルアプリ等とシームレスに連携可能。消費者に対し、購買での二酸化炭素排出量を容易に可視化することで、銀行は環境意識の高い顧客へ訴求できる。
同ツールでは、消費カテゴリー別の二酸化炭素排出量を測定。測定結果はÅland Indexが承認している。ユーザーが理解しやすいよう、同量の二酸化炭素吸収には、何本の木が必要かを表示できる他、よりサステナブルな生活をするためのアドバイスも提供する。またユーザーは、寄付やロイヤルティプログラムを通じ、マスターカードの森林保全プロジェクト「Priceless Planet Coalition」への協力もできる。
同プロジェクトは、樹木1億本の保全が目標。シティバンク、サンタンデール銀行の英国法人、アメリカン航空、GLS銀行、ジェットブルー、UKRSIBBANK BNPパリバグループ、ニューヨーク市のメトロポリタン・トランスポーテーション・オーソリティ、ロンドン交通局、Arnold & Winnie Palmer Foundation、Bass Pro Shops and Cabela’s、ekko、Fair Square Financial、Hellenic Bank、Paybox Bank、Pebble Beach Resorts、PGAツアー等、50団体以上が参画している。
【参考】【国際】マスターカード、植林寄付クレジットカード発行。シティバンク等協働。国際環境NGOの寄付(2020年1月25日)
参画企業のファースト・ハワイアン・バンクは、ロイヤルティプログラムを実施した。マスターカードは4月15日、米国、英国、ドイツ、オランダでTikTokとインスタグラムで、植樹に向けた消費者啓発キャンペーンを展開。4月22日から5月3日にかけては、食事券やゴルフ券のオークションを開催。マスターカードのユーザーが入札でき、支払金額は、同プロジェクトの活動に活用される。
同社の調査によると、新型コロナウイルス・パンデミックを受け、環境を意識した購買行動が高まっているという。世界中で回答者の54%が、パンデミック前と比べ、二酸化炭素排出量の削減が重要だと考えており、58%は、自身の行動が環境に与えるインパクトへの意識が高まったと回答した。Z世代やミレニアル世代では、同様の回答が65%を占め、このトレンドを支えていると分析した。
消費者の環境意識が高まる一方、回答者の62%が企業はより環境に配慮した行動をすべきと考えている。特に課題だと考えられているのは、廃棄物削減(37%)、大気・水質汚染(35%)、包装・容器、製品によるプラスチック汚染(35%)。
同社は、今回発表のツールの他にも、廃棄プラスチックの削減にも注力している。2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)達成する目標を設定し、同社役員の報酬体系も、カーボンニュートラルや金融インクルージョン、ジェンダー給与平等の指標に紐づけた。また、6億米ドル(約648億円)規模のサステナビリティボンドも発行している。
【参照ページ】Mastercard Unveils New Carbon Calculator Tool for Banks Globally, as Consumer Passion for the Environment Grows
【画像】Mastercard
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