中国人民銀行の易綱総裁は4月20日、「博鰲(ボアオ)アジアフォーラム」が主催する金融支援カーボンニュートラル円卓会議に動画出演し、中国人民銀行での気候変動金融政策について、グリーンファイナンスの動員、気候変動金融リスクのマネジメント、国際協調の3つの内容を発表した。
グリーンファイナンスの動員では、中国共産党中央委員会と国務院のリーダーシップの下、関連部門と協力して、グリーンファイナンスで政策を実行していることを明らかにした。具体的には、まず、中国人民銀行、発展改革委員会、中国証券監督管理委員会は4月21日、グリーンボンドの資金使途を定めた「グリーンボンド支援プロジェクト目録」の2021年版を発行。化石燃料関連のプロジェクトをグリーンボンドの資金使途から排除し、国際的なグリーンボンド基準との整合性を図った。
次に、金融機関の情報開示の強化で、インターバンク市場でのグリーンボンドの開示や、グリーンクレジットファンドの利用と方向性についての報告を義務化するための制度を検討していく。
グリーンファイナンス動員の3つ目は、インセンティブメカニズムの構築。グリーンボンドとグリーンローンを中央銀行の貸付ファシリティの適格担保の範囲に含める。また、商業銀行の格付、預金保険料率、マクロプルーデンス評価を通じ、グリーンファイナンスと二酸化炭素排出量削減を強化する。
その他、EUと協働し、グリーンファイナンスのための国際的なタクソノミーをできる限り早く策定することにも言及。また海外から中国への投資を拡大するため、金融業界の開放をさらに進めることも発表した。規制緩和を進め、外国金融機関ができる範囲も拡大する。
気候変動金融リスクマネジメントでは、先進国に比べ、新興国では急速にカーボンニュートラルを進めなければならない事情に触れつつ、中央銀行レベルでは、気候変動が金融の安定化と金融政策に与える影響を迅速に評価すると表明。金融機関のストレステストへの気候変動ファクターの組入、外貨準備へのグリーンボンドの配分増、高炭素資産への投資抑制、投資リスクマネジメントへの気候変動ファクターの組入等を掲げた。
金融機関レベルでは、実証プログラムに参加している金融機関に対し、各プロジェクトの二酸化炭素排出量を測定し、プロジェクトの気候変動リスクと環境リスクを評価するよう指示。すでに、全国的な二酸化炭素会計システムの確立を目指し、四半期毎の銀行のグリーンクレジット状況も評価した。グリーンクレジットの開発、グリーンボンドのパフォーマンス評価システム等も研究しているという。
課題としては、環境の負の外部性が完全にファイナンス価格に反映されていない点や、企業の環境情報開示の遅れ、カーボンプライシング制度の対象外の業種への対応等を挙げた。それでも、金融機関に対しては、グリーントランスフォーメーションを加速するため、段階的なグリーントランジションを推奨するとした。
国際協調では、アジア各国は、日本も含めて、グリーントランスフォーメーションを進めていると言及。2018年末に提案された「一帯一路」グリーン投資原則には、現在中国内外の39の金融機関が署名しており、一帯一路でのESGリスク対策や環境情報開示を進めることを強調した。また、複数のチャネルを通じて、発展途上国に対する投融資加速を中国人民銀行として支援していくことも表明した。
【参照ページ】易纲行长出席博鳌亚洲论坛2021年年会“金融支持碳中和”圆桌会议并作主旨演讲
【参照ページ】中国人民银行、发展改革委、证监会印发《绿色债券支持项目目录(2021年版)》
【参照ページ】人民银行有关部门负责人就《绿色债券支持项目目录(2021年版)》有关问题答记者问
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