銀行世界大手43社は4月21日、2050年までの投融資ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットする銀行のイニシアチブ「Net-Zero Banking Alliance(NZBA)」を発足した。日本の銀行の加盟はゼロ。
金融業界ではすでに、アセットオーナー向けの「Net-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)」が2019年9月に、運用会社向けの「Net Zero Asset Managers(NZAM)」が2020年12月に発足。今回ついに銀行業界でのアライアンスが誕生した。発足主体は、NZAOA及びNZAMと同様に、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)と、英チャールズ皇太子が設立し、英銀行大手11社が加盟している「金融サービス・タスクフォース」。
【参考】【国際】12機関投資家260兆円、2050年までにCO2ゼロとなる投資ポートフォリオにコミット(2019年9月27日)
【参考】【国際】運用会社30社、2050年投資ポートフォリオのCO2ゼロにコミット。NZAM発足。日系も1社(2020年12月12日)
NZBAの発足時メンバーは、バンク・オブ・イノベーション、シティグループ、モルガン・スタンレー、BNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル、仏郵政公社、HSBC、バークレイズ、スタンダードチャータード、ロイズ・バンキング・グループ、ドイツ銀行、UBS、クレディ・スイス、サンタンデール銀行、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)、カイシャバンク、ナットウエスト・グループ、SEB、トリオドス銀行、新韓金融グループ、KBファイナンシャル・グループ等。日本の銀行はゼロ。
NZBAの加盟機関は、投融資双方のポートフォリオでのカーボンフットプリントを2050年までに実現することにコミット。さらに加盟から18ヶ月以内に、2030年までの目標と2050年目標及び、2030年から2050年までの5年毎の中間目標を設定しなければならない。2030年目標には、二酸化炭素排出量の多いセクター等、銀行が最もインパクトを起こすべき対象を含めることも規定され、加盟から36ヶ月以内にセクター目標を定めることも規定されている。そのうえで、毎年、総量と原単位での排出量を公表。執行陣の戦略に対する取締役会レベルのレビュー結果の公表も義務付けられている。
今回、NZBAは同時に、銀行が気候変動目標を設定するためのガイドライン「Guidelines for Climate Target Setting for Banks」も発行。銀行全体での目標を統合していくために、ある程度の枠をはめた。
NZBAは、NZAOAとNZAMとともに、金融業界全体で「グラスゴー・ネットゼロ・フィナンシャル・アライアンス(GFANZ)」を形成。GFANZは、各地域の機関投資家の気候変動イニシアチブであるIIGCC、IGCC、AIGCC、Ceresの4団体で形成する「Paris Aligned Investment Initiative」とも連携する。
NZAOAは4月20日、加盟アセットオーナー数が37にまで伸長し、運用資産総額が5.7兆米ドル(約620兆円)となったと発表。同様にNZAMも4月20日、加盟運用会社が87にまで伸び、運用資産総額が37兆米ドル(約4,100兆円)にまで増え、運用業界の資産全体の40%をカバーするまでになったことを表明した。
【参照ページ】43 BANKS LAUNCH NET-ZERO BANKING ALLIANCE AS KEY PART OF CONSOLIDATED GLASGOW COP CLIMATE ACTION
【参照ページ】NET-ZERO ASSET OWNER ALLIANCE MORE THAN TRIPLES MEMBERSHIP TO 37 SINCE 2019 LAUNCH
【参照ページ】The Net Zero Asset Managers initiative grows to 87 investors managing $37 trillion, with the world’s three largest asset managers now committing to net zero goal
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