石油化学世界大手サウジ基礎産業公社(SABIC)は4月5日、サウジアラビアの政府系ファンドの「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」が100%出資しているサウジ投資リサイクル会社(SIRC)が初のケミカルリサイクル・プロジェクトを始動させることを支援する覚書を締結した。SABICは、プラスチックのケミカルリサイクルで世界を主導しており、SIRCもパートナーに加えた形。
今回のスキームでは、IRCが、自治体が収集するごみ廃棄物から、混在した廃プラスチックを回収し、SABICのケミカルリサイクル工場に供給する。SABICは、廃プラスチックを熱分解し、フィードストック型のケミカルリサイクルを行い、同社のサーキュラーエコノミー製品ブランド「TRUCIRCLE」の再生プラスチックとして販売していく。今回、両社でフィージビリティスタディを実施する。
また同社は4月1日、海洋プラスチックのペットボトルを回収し、マテリアルリサイクルをして、テレビのリモコンや電気シェーバー用のプラスチックを生産する事業も発表した。実際には、海に流出する前のペットボトルを補足するため、海洋から50km以内の水系や内陸部でペットボトルを回収する。将来的には、自動車部品向けにも供給する考え。
今回回収した海洋プラスチックは、石油由来のポリカーボネートに10%以上混合。再生素材を含有した「XENOY PC/PET」ブランドとして販売する。SABICが実施したライフサイクルアセスメント(LCA)によると、20%混合すれば、「XENOY PC/PET」1kt当たり、500mlのペットボトルを240万個リサイクルすることできるという。二酸化炭素排出量はバージンプラスチックに比べ7%減、エネルギー消費量は11%減となる。
さらに同社は4月11日、同社のサウジアラビア国内中小企業向け投資子会社Nusaned Investmentを通じ、サウジ・パレット製造会社(SPMC)に対する投資契約を締結した。プラスチック製パレットのサウジアラビアでの国内生産を加速させる。Albilad Capitalが運営する「Nusaned Fund」も共同投資する。
SPMCは2015年からダンマームの工場でプラスチック製パレットの生産を開始。今後、国内での経済成長だけでなく、欧米への物流ハブとしても国内でのパレット需要増が見込まれている。サウジアラビアは、「サウジ・ビジョン2030年実現プログラム」の中で、物流ハブとしての地位を目指しており、今回の国内パレット生産も重要なパーツと位置付けた。
【参照ページ】SABIC, SIRC JOIN HANDS TO REALIZE SAUDI VISION 2030 OBJECTIVE OF CIRCULAR ECONOMY
【参照ページ】SABIC IS A FRONTRUNNER IN INDUSTRY TO LAUNCH RECYCLED OCEAN BOUND PLASTICS PORTFOLIO
【参照ページ】NUSANED INVESTMENT™ SIGNS DEAL TO PROMOTE LOCAL PRODUCTION OF PLASTIC PALLETS
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