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【日本】Jパワー、西沖の山石炭火力新設断念。松島もIGCC転換。経産省はUSC以上を維持狙う

 電源開発(Jパワー)は4月16日、山口県宇部市の宇部興産所有地で進めていた石炭火力発電所「西沖の山発電所」新設計画を白紙撤回すると発表した。また、長崎県の松島火力発電所の2号機を石炭ガス化複合発電(IGCC)型に転換すると発表した。

 山口県のプロジェクトは、2015年に発足。電源開発が90%、宇部興産が10%を出資する形で事業会社として山口宇部パワーを設立。しかし今回、「電力需要は横ばいで推移すると見込まれることや、再生可能エネルギーの導入が拡大していることなど、事業環境を巡る状況を総合的に判断した結果、本計画を取り止める」と発表した。今回の決定により、日本で建設前計画中だった大型の石炭火力発電新設計画は全て断念する形となった。

 長崎県の松島火力発電所の2号機は、超々臨界圧型(USC)。これを、より二酸化炭素排出量の少ない石炭ガス化複合発電(IGCC)に転換する。2024年に着工し、26年度の運転開始を目指す。

 Jパワーは2月、「BLUE MISSION 2050」を発表し、2050年カーボンニュートラルを宣言。今回の2つの発表も、これに関連している。

【参考】【日本】Jパワー、関西電力、中国電力、2050年カーボンニュートラル表明。原発・CCUSが実質的な柱(2021年2月27日)

 日本政府では目下、総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会合同石炭火力検討ワーキンググループの場で、石炭火力発電の将来方向性の議論が行われている。4月の会合では、梶山・経済産業相が発言していた「非効率石炭火力のフェードアウト(kWh削減)」について、USC以上の石炭火力発電所を温存し、現行のエネルギーミックスで定める石炭比率(26%)をそのまま据え置く案が提示された。

 これに対し、環境NGOの気候ネットワークは、世界の脱石炭の潮流から「かけ離れた内容」と強く批判している。国際的にも、世界中で2030年に石炭火力発電全廃の声が日に日に大きくなっている。

【参照ページ】山口宇部パワー(株) 西沖の山発電所(仮称)新設計画 計画取り止めについて
【参照ページ】GENESIS松島計画の環境影響評価実施に向けた準備開始について ―カーボンニュートラル・水素社会実現に向けて―
【参照ページ】第8回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会 合同 石炭火力検討ワーキンググループ
【参照ページ】【プレスリリース】政府の「非効率石炭火力のフェードアウト」に向けた措置では不十分(2021年4月14日)

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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