飲料世界大手蘭ハイネケンは4月15日、同社のサステナビリティ戦略「Brewing a Better World」を改訂し、2030年までに自社事業で、2040年までにバリューチェーン全体で二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を達成する目標を発表した。国連の気候変動キャンペーン「Race to Zero」と事業電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す国際イニシアチブ「RE100」にも加盟する。
同社は2月、2030年までにスコープ1、スコープ2での二酸化炭素排出量を2018年比で38%削減し、スコープ3を含むバリューチェーン全体での同排出量を2030年までに同年比で30%削減する目標を発表。科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)からの承認も得ていた。今回発表では目標を引き上げた形。新目標でもSBTi承認に向け、協議を進めているという。
同社はまず、2030年までに製造工場での省エネや再生可能エネルギーへの転換で、スコープ1、スコープ2のカーボンニュートラルを目指す。同年までには、同社サプライヤーと協働し、バリューチェーン全体でのに二酸化炭素排出量を30%削減する。
同社は2008年から、醸造所でのhlあたり二酸化炭素排出量を51%削減に成功。2018年からは、再生可能エネルギーへの転換にコミットを開始し、130プロジェクト以上を展開している。醸造所内に設置した太陽光発電所として世界で最も大きな10ヶ所のうち5ヶ所は同社のもの。
また同社は、フィンランドで風力発電所を建設し、同社欧州13拠点へ電力を供給。インドネシアでは、醸造所2ヵ所で農業廃棄物でのバイオマス発電を行っている。ナイジェリアでは、醸造所へ太陽光パネルを設置し、ベトナムでは、もみ殻を地域農家から調達し、ボイラーで活用している。
さらに同社は、8カ国で低炭素農業の実証プロジェクトも50件支援。スペインとオーストリアでは、ゼロエミッション醸造所への移行も行っている。メキシコでは、スマート冷房を活用し、エネルギー消費量を最小化するように自動で温度調整を実施。オランダでは、ビールや炭酸飲料輸送での二酸化炭素排出量削減も進めている。英国では、厚紙のマルチマック「Green Grip」を導入し、プラスチック消費量を年間500t削減した。
【参考】【オランダ】ハイネケン、ビール「ソル」の生産で100%太陽光発電達成。新商品ラベルに明記(2020年11月6日)
【参考】【スペイン】ハイネケンスペイン、全ビールの生産消費電力が100%再エネに転換。同国業界初(2020年10月2日)
【参考】【オランダ】ハイネケン、国内販売ハイネケンの生産で100%再エネ化実現。内陸海運でも削減へ(2020年9月14日)
【参照ページ】HEINEKEN aims to be carbon neutral in production by 2030 and full value chain by 2040
【参照ページ】CEO interview on HEINEKEN's carbon neutrality ambition
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