世界銀行のデイビッド・マルパス総裁は4月2日、世界銀行グループの新たな気候変動アクションプランを理事会に示した。気候変動ファイナンスの増加や、支援先の国での石炭ダイベストメント実施等が柱。
世界銀行グループは、2016年から2020年までの5ヵ年気候変動アクションプランを実施。今回提示したものは、それに続く、2021年から2025年までの新たなアクションプラン。前5ヵ年アクションプランでは、830億米ドル(約9兆円)のファイナンスを実施し、2020年単年でも214億円という過去最高額をマークしていた。
まず、世界銀行グループは、今後5年間で気候変動ファイナンスの規模を35%増やし、特に世界銀行と国際開発協会(IDA)での気候変動ファイナンスのうち50%を気候変動適応分野に投ずる。前5カ年では、気候変動適応ファイナンスが全体の26%であり、今回大幅に増加しに行く。
次に、支援要請国に対し、段階的な脱石炭を大幅に支援。具体的には、石炭セクターの従事者のキャリア転換やスキル転換を支援し、ジャスト・トランジションを進める。また、従来と同様、石炭火力発電から、安価で信頼性の高い再生可能エネルギー発電に転換していく。
気候変動ファイナンスでは、結果指標を重視。具体的には、二酸化炭素排出量の削減、適応・レジリエンス等で具体的な指標を設定し、インパクトを追求する。新たに、「国別気候・開発報告書」も発行し、国別削減目標(NDC)や長期戦略(LTS)の実践を支援。加えて、NDCとLTSの実践を、世界銀行グループのカントリー・パートナーシップ・フレームワークにも組み込んでいく。
ファイナンス先の分野では、エネルギー、食料システム、輸送、製造業等の気候変動脆弱性の高い分野にフォーカスする。
パリ協定との整合性でも、2023年7月1日まで世界銀行の全オペレーションで整合性を確保。国際金融公社(IFC)と 多数国間投資保証機関(MIGA)では、2023年7月1日までにオペレーションの85%で、全オペレーションでは2025年7月1日までに整合性を確保する。
【参照ページ】World Bank Group President’s Statement on Climate Change Action Plan
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