国連人権理事会の特別報告者は3月31日、法務省が2月に国会に提出した出入国管理及び難民認定法改正案に関し、日本政府に対し懸念表明と対話を求める共同声明を発表した。同法改正案については、すでに日本弁護士連合会からも反対声明が出ている。
今回特別報告書が発表した声明は、国連人権理事会の決議に基づき、移住者の人権に関する特別報告者、恣意的拘禁作業部会、宗教または信条の自由に関する特別報告者、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は刑罰に関する特別報告者の権限を行使して通知された公式なもの。国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)が仮訳も公表した。
今回の声明では、まず、移住者や庇護希望者に対して移住(出入国管理)における収容(immigration detention)を自動的に適用することを可能にする条項が維持されていることに、すべての人の身体の自由を保障する世界人権宣言の第3条の観点から懸念を表明。移住(出入国管理)における収容は最後の手段としてのみ使用し、収容代替措置を追及するという誓約を日本政府も支持していることも強調した。
さらに改正案で導入する「監理措置」では、対象者を収容しない場合、300万円以下の保証金の支払いに加え、親族や支援者の中から「監理人」を対象者に指定し、対象者の日常生活を監視・報告する義務を負う規定となっていることにも懸念を表明した。
それ以外にも、司法審査の欠如、移住(出入国管理)における収容期間の上限の欠如、ノン・ルフールマンに関する懸念、子どもに配慮したセーフガードの欠如についても、問題を指摘した。
同声明は、日本政府に対し、改正法案の内容について、市民社会や、弁護士会、移住者・庇護希望者・難民の代表などの関連するステークホルダーとの間で行われた協議と、その結果(提起された懸念事項を含む)について、情報を提供するよう要請。また、改正法案および同法を徹底的に見直すために行った検討内容を示すことも求めた。
【参照ページ】【お知らせ】国連人権理事会の特別報告者から日本政府に向けて発出された入管法改正案に関する懸念表明と対話を求める共同声明の和訳を発表いたしました。
【参照ページ】出入国管理及び難民認定法改正案(政府提出)に対する会長声明
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