環境省は3月30日、海外での二酸化炭素排出量を日本国内の企業に移転する独自の制度「日本国二国間クレジット制度(JCM)」について、「日本国JCM実施要綱」の改定案を公表。4月28日までパブリックコメントを募集する。
今回の改定の背景には、パリ協定で厳しいルールが設定されたことがある。JCMは、パリ協定の前の京都議定書時代から運用されてきた日本独自の制度で、日本もパリ協定の条約交渉の中で、JCMを国際的に認めさせることを悲願してきた。排出クレジットの国際移転のルールについては、目下、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)の中で最終調整が進められているが、すでにパリ協定に記載された原則レベルで、JCMとの齟齬が出ていることから、今回改定を行うこととした。
実際に今回の改定ポイントとなったのは、パリ協定6条第2項で規定された「国際的に移転される緩和の成果(ITMOs)」の活用を含む「協力的アプローチ」で、二重計上防止等を含む堅固な台帳管理が定められた点。そして、パリ協定第13条の実施指針(18/CMA.1 para77(d))で、国別削減目標(NDC)の達成に向け、協力的アプローチに参加する国、又はNDC以外の国際的な排出削減制度における活用について政府承認を行う国は、削減量の二重計上を回避するため、相当調整を行った排出バランス等について報告することが義務化された点。
改定案では、まず、JCMの登記簿担当省として環境省と経済産業省の2省に限定し、JCMを活用する企業が帳簿の移転を自分で行えないようにする。
また、JCMクレジットでは、「パートナー国(削減プロジェクトの立地国)政府がパリ協定及び関連する決定文書に従い、パリ協定締約国としてNDCの対象となる温室効果ガス排出量に加える相当調整を行う」とし、パートナー国との協議の上、クレジット量が確定することとなった。そのため、パートナー国との関係が悪化した場合や、政府間の事前調整が不十分な場合には、想定したクレジット分が得られない可能性が出てきた。
【参照ページ】「日本国JCM実施要綱(改定案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について
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