世界経済フォーラム(WEF)は3月30日、各国のジェンダー不平等状況を分析した「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)2021」を発表し、毎年発表している2021年版「ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)」を公表した。対象は世界153カ国。
ジェンダー格差が少ない1位から5位までは、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、ニュージーランド、スウェーデン。日本は120位で、昨年の121位から1つ順位を上げたが、過去ワースト2の順位となった。その他、ドイツ11位、フランス16位、英国23位、カナダ24位、米国30位、イタリア63位で、日本はG7の中で圧倒的に最下位。韓国は102位、中国は107位で日本より上だった。
同指数では、「ジェンダー間の経済的参加度および機会」「教育達成度」「健康と生存」「政治的エンパワーメント」の4種類の指標を基に格差を算定し、ランキング付けされている。
※括弧内は昨年順位
- アイスランド(1)
- フィンランド(3)
- ノルウェー(2)
- ニュージーランド(6)
- スウェーデン(4)
- ナミビア(12)
- ルワンダ(9)
- リトアニア(33)
- アイルランド(7)
- スイス(18)
- ドイツ(10)
- ニカラグア(5)
- ベルギー(27)
- スペイン(8)
- コスタリカ(13)
- フランス(15)
- フィリピン(16)
- 南アフリカ(17)
- セルビア(39)
- ラトビア(11)
ランキングは上位は例年通り北欧諸国。アイスランドは12年連続で首位の座についた。北欧諸国は、評価指標のうち最も差が出やすい「政治的エンパワーメント」で非常に高いスコアを叩き出している。また次に差が出やすい「経済的参加度および機会」でもスコアが高い。一方、「教育達成度」と「健康と生存」では、首位アイスランドから各々92位と65位の日本までの間ではほとんど差が出ていない。
北欧諸国の中では相対的に順位の低い14位デンマークは「政治的エンパワーメント」「経済的参加度および機会」が足を引っ張っている。逆に、上位にいるルワンダ、ナミビア等のアフリカ発展途上国は、内戦の影響で男性が多数命を落とした結果、女性の政治家や従業員割合が多くなり、「政治的エンパワーメント」のスコアが高い。
日本は、2015年が101位、2016年が111位、2017年が114位と順位を落とし、2018年は110位に多少挽回、2021年には史上最下位の121位にまで転落し、今回120位だった。日本の評価は、項目ごとに優劣がはっきりしている。読み書き能力、初等教育(小学校)、出生率の分野では、男女間に不平等は見られないという評価で昨年同様世界1位のランク。
一方、中等教育(中学校・高校)、高等教育(大学・大学院)、労働所得、政治家・経営管理職、教授・専門職、国会議員数では、男女間に差が大きいとの評価で世界ランクがいずれも100位以下。その中でも、最も低いのが、国会議員数でも140位、立法者、高官、管理職数で139位、閣僚数で126位とかなり低い。その他の項目でも50位以内に入った項目はゼロ。
経済分野での日本のランクは、賃金格差が83位とこれでも最も高く、労働力参加68位、所得101位といずれもかなり低い。
中国も男女差別がある国のように見えるが、高等教育と教授・専門職では男女平等と評価され世界ランク1位を取得。一方で中等教育、出生率、平均余命では男女差があると評価されており日本とは全く逆の傾向。ちなみに中国の国家議員数ランクは76位と日本よりもかなり高い。
日本では、国会議員、政治家・経営管理職、教授・専門職、高等教育(大学・大学院)等、社会のリーダーシップを発揮すべき分野で、ダイバーシティは評価が著しく低い状態がずっと続いている。
【参照ページ】Global Gender Gap Report 2021
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