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【ドイツ】BASF、2050年カーボンニュートラル目標。エネルギー転換やサーキュラーエコノミー化の技術リード

 化学世界大手独BASFは3月26日、スコープ1とスコープ2での2050年までの二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)目標を発表した。中間目標として2030年までに総量で2018年比25%削減を目標として設定した。実現に向け、2030年までに40億ユーロ(約5,200億円)を投資する。

 BASFは、同社が誇る集合工業地帯「フェアブント」を2030年までに中国南部にも建設する計画を進めており、他の設備増によるや生産量を加味すると、2030年までの原単位での削減幅は50%となる。生産量を増加させながら、二酸化炭素排出量を削減するデカップリングを実現する。投資額は、2025年までに10億ユーロ、2030年までに20億ユーロから30億米ドル。

 同社の二酸化炭素排出量は2018年時点で2,190万tだったが、1990年比では約半減にまで削減に成功している。EUは2030年までに1990年比で55%減を目標としているが、同社はこれを上回る60%を目標として設定している形。これまでは電力を再生可能エネルギーに転換する動きを進めてきたが、2030年に向け、生産プロセスや原材料での排出量削減を本格化させる。

 計画の柱の一つが、BASF、SABIC、リンデの3社で進めるナフサクラッカーの熱を、再生可能エネルギー電力で熱発生させる世界初の実証プロジェクト。実現すると、ナフサ分解での二酸化炭素排出量を最大90%削減できる見込み。

【参考】【国際】BASF、SABIC、リンデ、ナフサクラッカーの熱を再エネ電力調達する実証で提携(2021年3月26日)

 他にも、水素やCCSのプロジェクトも加速させている。天然ガス改質の水素生産では、メタンガス熱分解技術を開発している。実現すれば、従来のプロセスと比べ、電気エネルギーを約5分の1にまで削減できるという。現在、ドイツ・ルートウィヒスハーフェンの工場で実証プラントを建設得しており、ドイツ連邦教育・研究省からも助成金を得た。

 グリーン水素生産では、シーメンス・エナジーとの間で、PEM法の水電解設備をルートウィヒスハーフェン工場に建設中。設備容量は50MW。生産した水素は、工場内での原料として活用し、一部のみライン=ネッカー地域の燃料電自動車(FCV)向けに販売する。

 ベルギーのアントワープ工場では、北海周辺での最大規模の炭素回収・貯留(CCS)プロジェクトを、Antwerp@Cと協働で計画中。実現すると年間100万tの二酸化炭素を回収できる。最終意思決定は2022年を予定。

 工場での排出削減では、2020年末から稼働開始したイソブデン(イソブチレン)工場では、工場廃熱を循環利用し二酸化炭素排出量を最大80%削減。年間の削減量に換算すると2万にもなる。同工場は、オーストリア化学大手OMVとの共同プロジェクトで、OMVのブルクハウゼン工場内にラインを設置。生産されるイソブデンの純度は99.9%と高品質。BASFが触媒等の新技術を提供した。

 サーキュラーエコノミーの分野では、独スポーツ用品大手ファウデとの間で3月19日、廃タイヤをケミカルリサイクルし、アパレル繊維を生産することで合意している。​BASFは、廃タイヤを熱分解して油化し、高性能のポリアミド樹脂「Ultramid Ccycled」を生産。石油を原料とした場合と同等の品質を実現する。品名「Ccycled」は、同社が石油原料と同等の品質を実現したリサイクル製品に記した共通ブランド名。

 同社は3月18日には、ドイツ家電大手BSHが、BASFのケミカルリサイクル素材で生産した発泡スチロールを採用したことも発表した。BASFは、ディリンゲンの工場で、ケミカルリサイクルでスチロール樹脂を生産し、再生発布スチロール「Styropor」を販売しており、BSHは今回、高級ブランド「Gaggenau」の梱包用発泡スチロールで、Styroporを採用した形。2021年4月1日から市場で流通する。

 バイオ素材の分野でも、BASFのCVC子会社BASFベンチャーキャピタリストが、3月16日に中国・杭州のBota Biosciences(Bota Bio)に出資した。Bota Bioは、生細胞と酵素の組み合わせパターンを高性能に解析するコンピューター技術を持ち、2019年に創業。BASFは今回の投資により、植物由来の素材から、幅広い用途の高性能素材を開発する作業を加速させる。

【参照ページ】BASF presents roadmap to climate neutrality
【参照ページ】Innovative, sustainable technology developed by BASF and OMV: New ISO C4 plant in Burghausen/Germany starts production
【参照ページ】Outdoor pants made of old tires
【参照ページ】Proven packaging, reduced carbon footprint: BSH uses BASF’s Styropor® packaging based on chemically recycled plastics for the first time
【参照ページ】BASF invests in biotechnology start-up Bota Bio

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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