年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3月25日、委託先運用会社のスチュワードシップ活動をまとめた「2020/2021年スチュワードシップ活動報告」を発表した。同報告は2017年から開始され、今回が4年目。GPIFは2020年2月に運用会社に義務付けるスチュワードシップ原則改訂しており、今回は改訂後の初報告となった。
【参考】【日本】GPIF、運用会社に義務付けるスチュワードシップ原則改訂。エンゲージメントと運用の連携等(2020年2月10日)
GPIFは2月のスチュワードシップ原則の改訂に続き、4月1日には投資原則を改訂し、非財務的要素であるESG(環境・社会・ガバナンス)を考慮した投資を推進し、スチュワードシップ責任を果たすような様々な活動(ESG を考慮した取組を含む)を実施することを明記。さらに6月29日には「スチュワードシップ責任を果たすための方針」を改訂し、投資運用だけでなく、スチュワードシップ活動の範囲でも、株式から、債券も含めた全アセットクラスに拡大した。
GPIFは今回、運用受託機関のガバナンス・親会社等との利益相反について、引き続きの課題感を示しつつも、日系、外資系ともに運用受託機関自身やその親会社、グループ会社に対して、株主提案が提起されるケースも増えてきているとも伝えた。
委託先運用会社の「重大ESG課題」認識では、引き続き気候変動が上位を占めた。他には、不祥事、情報開示、サプライチェーン、ダイバーシティ、取締役会構成・評価、少数株主保護(政策保有等)などが多かった。
さらにスチュワードシップ活動が全アセットクラスに拡大されたことに伴い、債券投資家にも「重要ESG課題」を確認した。同様に気候変動が上位に入った。
GPIFは今回の強化方針として、委託先運用会社とGPIFとの双方向のコミュニケーションの強化、債券投資におけるスチュワードシップ責任の評価基準・手法の検討、スチュワードシップを重視したパッシブ運用モデルの採用拡大、ESGインテグレーションの評価手法のさらなる検討等を挙げた。
【参照ページ】2020/21年 スチュワードシップ活動報告
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