国際環境NGOのレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、バンクトラック、シエラクラブ、オイル・チェンジ・インターナショナル、Indigenous Environmental Network、Reclaim Financeの6団体は3月24日、世界主要銀行の化石燃料へ融資・引受状況をまとめた報告書「Fossil Fuel Finance Report Card 2021(化石燃料ファイナンス・レポートカード2021)」を発表した。
同様のレポートは今年で12回目。当初は「Reportcard on banks and mountaintop removal」という名称だったが、2013年に「Coal Finance Report Card」に改称。さらに2016年から「Fossil Fuel Finance Report Card」という名称となり、石炭だけでなく問題性の高い化石燃料にまで分析対象を拡大した。
今回の分析メソドロジーは、化石燃料の採掘、輸送、消費、貯蔵に関わる2,300社を対象とし、当該企業への融資・有価証券引受額を銀行毎に算出した。算出対象は世界大手60銀行。また、石炭採掘、石炭火力発電、オイルサンド、北極圏原油・ガス開発、オフショア原油・ガス開発、シェールオイル・ガス開発、液化天然ガス(LNG)については個別に業界35社への融資・有価証券引受額についても算出した。また、実績ではなく、セクターポリシーのレベルでも格付を行った。
(出所)RAN
今回のレポートで、化石燃料ファイナンスの5年合計の最多の銀行は、JPモルガン・チェース。融資・引受額は大きく減少していたが、他の銀行も減少させたため、結果はワースト銀行となった。2位はシティグループ、3位はウェルズ・ファーゴ、4位はバンク・オブ・アメリカで、米国4大銀行が上位を占めた。ただ、いずれの銀行も融資・引受額を大きく低減させていた。
日本の銀行では、三菱UFJフィナンシャル・グループが6位、みずほフィナンシャルグループが8位、三井住友フィナンシャルグループが18位に入った。三井住友トラスト・ホールディングスは60銀行中59位で、ほとんど新規融資・引受がなかった。
同レポートでは、石炭採掘、石炭火力発電、オイルサンド、北極圏原油・ガス開発、オフショア原油・ガス開発、シェールオイル・ガス開発、液化天然ガス(LNG)別の融資・引受額も公表している。
(出所)RAN
化石燃料ファイナンスのセクター・ポリシーでは、イタリアのウニクレディトが最も厳格なポリシーを採用していることがわかった。また欧州大手は全体的に順位が高かった。一方、日本勢は中国勢に次いで、セクターポリシーが緩かった。
【参照ページ】Banking on Climate Chaos
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