機関投資家の気候変動アクション・イニシアチブClimate Action 100+は3月22日、エンゲージメント対象としている世界167社に関し、投資先企業のカーボンニュートラルへのアクションを評価する枠組みとして「Climate Action 100+ ネットゼロ企業ベンチマーク」の状況を分析した初の分析結果を発表した。資本アロケーションにおいてほとんどの企業が要求レベルに達していないことがわかった。
【参考】【国際】機関投資家団体CA100+、企業のカーボンニュートラル評価ベンチマーク発表。日本・中国企業でも進展あり(2020年12月28日)
【参考】【国際】Climate Action 100+、ターゲット企業が167社に増加。ステート・ストリート加盟で5400兆円に(2020年12月4日)
Climate Action 100+は、2020年12月にエンゲージメント先企業を評価するための10の指標を定めた「ベンチーマーク」を発表した。今回、10の指標について、167社の状況を開示した。
(出所)Climate Action 100+
全体傾向としては、167社のうち83社は2050年カーボンニュートラルを目標として、排出削減目標を定めていたが、そのうち44社は、スコープ3の排出量が多い業種にもかかわらず、カーボンニュートラルの対象に含めていなかった。
また107社は、2026年から2035年までの中期目標を設定していたが、Climate Action 100+が要求する項目を満たす目標を設定していたのは21社にとどまった。また75社は2025年までの短期目標を設定しているが、同じく要求を満たす目標設定は8社のみだった。
資本アロケーションでは、長期目標と整合性のある将来の資本アロケーションをコミットしている企業は6社にとどまり、1.5℃目標と整合性のある資本アロケーションについては0社だった。
取締役会や経営陣の責任でも、139社が取締役会での気候変動監督を実施しているが、経営陣の報酬にまで連動させているところは3分の1。
Climate Action 100+に加盟している機関投資家の運用資産総額は54兆米ドル(約5,800兆円)。今回、167社のうち多くの企業が要求レベルに達していないことが明らかとなり、今後さらにエンゲージメントを強めていく模様。
【参照ページ】CLIMATE ACTION 100+ ISSUES ITS FIRST-EVER NET ZERO COMPANY BENCHMARK OF THE WORLD’S LARGEST CORPORATE EMITTERS
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