金融世界大手英HSBCは3月11日、石炭関連向けの融資残高を、EUと経済協力開発機構(OECD)加盟国は2030年、発展途上国では2040年までに段階的に廃止する方針を、5月28日の株主総会に起案することを決定した。ShareActionが主導する形で、同様の株主提案が提出されていた。銀行の石炭ダイベストメントでは、新規融資を禁止する動きが普及しているが、「残高ゼロ」が新たな潮流としてでてきている。
【参考】【イギリス】ShareActionと機関投資家、HSBCに2050年カーボンニュートラルの中間目標設定を株主提案(2021年1月25日)
ShareActionのキャンペーンに参加していた機関投資家の運用資産総額は、2.4兆米ドル(約260兆円)。ShareActionは、今回のHSBCの決定を歓迎するとともに、今年の株主総会向けの株主提案を撤回した。決定したコミットを果たさない限り、2022年にも新たな株主提案を行うことも言及した。
HSBCが今回決定した株主決議案は、特別決議事案で、株主総会での75%の賛成が得られた場合に経営を拘束する。内容は、石油・ガスと電力事業向けの融資に対しては、パリ協定と整合性のある期限を設けた短期・中期の目標を掲げる。EUとOECD加盟国では2030年までに、その他の市場では2040年までに、石炭火力発電と一般炭(石炭)向けのファイナンス残高を段階的にゼロにする。同ポリシーが適用される「ファイナンス」には、プロジェクトファイナンス、コーポレートファイナンス、引受が含まれる。策定したポリシーは2021年末までに公開することを義務付ける。
さらに、実施については、使用したメソドロジー、シナリオ、主要な前提に関する内容の要約を含めた年次報告を2021年から義務付ける。その後も、戦略とポリシーに関する進捗報告を毎年実施することを課す。
【参照ページ】Shareholder campaign secures HSBC coal phase-out
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