東京電力ホールディングスは3月16日、原子力規制委員会の臨時会議で、柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護設備の機能の一部喪失にかかる事案が報告された結果、「安全重要度評価」が「赤」との暫定評価を受けたと発表した。「赤」は、安全確保の機能又は性能への影響が大きいを意味し、4段階で最も悪い評価。さらに、深刻度を暫定的に「SLI(核物質防護上重大な事態をもたらしたもの、又はそうした事態になり得たもの)」とした。
報道によると、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所では、2020年3月から2021年2月までの1年間で、テロ対策用の侵入検知装置の故障が計16カ所であった。さらにそのうち10ヶ所では東京電力が講じた代替措置も不十分で、侵入を検知できない状態が30日間を超えていたおそれがあったという。
原子力規制委員会は、2021年2月21日、2月24日から26日、3月3日、3月4日に、原子力規制検査を実施。事業者が行う核物質防護に係る活動の劣化を隠した。この判断は非常に重い判断。
実効性のない代替措置を対策として用意していた同社に対し、原子力規制委員会の更田委員長は「不正なのか、分かっていて意図的にやらなかったのか。あるいは知識が足りなかったのか。技術的な能力の問題か。それとも、なめているのか。この程度でいいんだと。委員会がつかみたいのはまさにそこです。今後の検査で時間がかかると思うが確かめる」と述べたという。
東京電力ホールディングスには、抜本的な組織体制の刷新が求められることとなった。
【参照ページ】「柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護設備の機能の一部喪失」に関する原子力規制委員会の暫定評価結果の受領について
【参照ページ】第64回原子力規制委員会 臨時会議
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