自動車世界大手独フォルクスワーゲンは3月5日、モビリティのデジタル化中心に据えた経営戦略「ACCELERATE」を発表した。Eモビリティへの転換を一気に進め、社運を賭けたプロジェクト「トリニティ」を成功させ、業界に「ディスラプション(破壊的イノベーション)」を起こすと表明。その一環として、新車販売に占める電気自動車(EV)を2030年までに欧州では70%以上に、米国と中国でも50%以上に引き上げるとの目標も宣言した。
今回の発表では、フォルクスワーゲンは、ソフトウェア志向のモビリティ・プロバイダーに向けた変革を加速させると伝えた。また、EV化を断固として進めつつ、もう一つの巨大な変革であるモビリティへのソフトウェア統合とデジタル・カスタマー・エクスペリエンスが今後は極めて重要なコアコンピテンシーになるとの考えを披露した。
自動運転についても、2030年までに普及させると発表。同社の新型車種「ID」シリーズでは、スマートフォンのように、2021年夏から12週間毎にソフトウェアの無線アップデートを実施し、最高の状態を提供し続けるという。2年後には50万台以上を普及させ、これにより顧客からのフィードバックもダイレクトに収集していくという。
またデジタル化し、データを中心としたビジネスモデルに転換することで、車の価格を引き下げ、EV充電サービスやソフトウェアを通じたサービス等の新たな収益モデルを確立すると標榜し、2023年から経常利益率を6%以上に引き上げつつ、固定費を2023年までに毎年5%幅引き下げ、工場生産性も毎年5%向上させる。原料費も7%引き下げ、全ての地域で黒字化を達成する。南米と米国では現状赤字状況だが、北米では売上が15%減、南米では売上が30%減になっても、利益を出せる財務体質にする。
設備投資は、Eモビリティやデジタル化で2025年までに160億ユーロ(約2.1兆円)を投入する。新車販売のEV比率は、欧州では2030年目標を35%から70%以上に2倍にまで引き上げた。そのため、毎年EVを1車種以上投入し、2021年上半期には4WD車種「ID.4 GTX」を、下半期にはスポーツータイプ「ID.5」、秋には中国市場でSUV車種「ID.6 X / CROZZ」も上市する。EVモジュールの「Modular Electric Drive Toolkit」の改善も重要戦略と位置付け、柔軟に拡張設計できる車体モジュール「Scalable Systems Platform」を2026年に導入する。
プラグイン・ハイブリッド(PHV)車種も当面は強化する。「Golf」「Tiguan」「Passat」「Tayron」「T-ROC」の車種では、燃費改善をさらに改善。同時にPHVのEVモードでも100kmまで走行できるようにする。
これらのプロジェクト「トリニティ」は、2026年をゴールとしている。年間の販売台数は600万台を目標とし、レベル2の自動運転をフル搭載し、将来的にはレベル4の自動運転も計画に織り込んでいる。
【参照ページ】Volkswagen is accelerating transformation into software-driven mobility provider
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