国連環境計画(UNEP)は2月18日、気候変動、生物多様性喪失、環境汚染への対処に関する包括的な報告書「Making Peace With Nature」を発行した。最新の科学的知見も踏まえ、国連持続可能な開発目標(SDGs)フレームワークとの関係性を抑えつつ、持続可能な開発を進めていく重要性を訴えかけた。報告書作成資金は、EU欧州委員会とノルウェー気候・環境省が拠出した。
今回の報告書は、先行報告書等を包括的にとらえ、政策決定者や幅広いステークホルダー向けに現況と見通しを伝えるコミュニケーション・ツールとして制作されたもの。幹となっている先行研究は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書(AR5)、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)の第5次地球規模評価報告書(GBO5)、国連環境計画(UNCP)の第6次地球環境概況(GEO-6)。気候変動、生物多様性汚染、環境汚染が人類社会に与える悪影響も数多く分析している。
同報告書によると、環境変化により、莫大な経済コストや年間で数百万人の夭折をもたらしているという。それにより、貧困ゼロや飢餓ゼロ等のSDGsゴールへの進捗を悪化させており、不平等を削減し持続可能な経済成長を促進するという目標の達成も難しくしている。
特に将来世代のウェルビーイングは、環境破壊を伴う現行の人間社会からの決別を早急に進めなければならず、特に2030年までの期間が重要とした。例えば、二酸化炭素排出量は2030年までに2010年比で45%削減、2050年までにカーボンニュートラルを実現しなければ、気温を1.5℃情報に留めることができなくなってしまう。同時に生物多様性を保護し、環境汚染や廃棄物を最小化しなければならない。
環境非常事態への対応と人間のウェルビーイングのためには、「サステナビリティ」に向かって協働する必要があり、施策間のシナジーを高めインパクトを増大させることも説いた。経済界には、サステナビリティへの転換を率先する変革が、社会活動には、自然資本の観点を意思決定に統合し、逆行する補助金を削減することが必要という。
解決に向けては、知見、創意工夫、テクノロジー、協力の観点で誰もが役割を負っていると強調。政府に全てを委ねるのではなく、マルチステークホルダー型で各々が果たす役割を自覚して挑む「多軸中心的ガバナンス」がカギとした。
【参照ページ】Making Peace With Nature
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