みずほ銀行と三井住友信託銀行は3月12日、川崎汽船が設立するリース専業SPCに対し、グリーンローンを「トランジションローン」という独自ブランドで提供すると発表した。トランジションローンを謳う融資は今回が日本初。
同融資は、国際資本市場協会(ICMA)が2020年12月に発行した「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」に準拠したことでブランディングしている法人ローン。そのため、今回、日本格付研究所(JCR)が外部基準との適格性を確認した第三者意見を発表。英Loan Market Association(LMA)、香港に本部を置くアジア太平洋地域業界団体Asia Pacific Loan Market Association(APLMA)、米Loan Syndications and Trading Association(LSTA)が策定した「グリーンローン原則(GLP)」、環境省の「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン」に加え、「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」の要件を満たしているとのお墨付きを与えた。
【参考】【国際】ICMA、気候変動移行を資金使途のESG債に追加要件設定。発行体全体の戦略や目標等(2020年12月11日)
【参考】【国際】LMA等、グリーンローン原則とサステナビリティ・リンクローン原則のガイダンス発行(2020年5月8日)
トランジションローンは、カーボンニュートラルまでのつなぎとして、低炭素社会への移行に資する分野を資金使途に限定するローン。ICMAの「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」は本来は、債券を対象として定めたガイドラインであり、ローンは対象となっていない。しかし今回、JCRはローンにも類推適用し、適格性を判断した。この類推は「イノベーティブ」とも「亜流」とも呼びうる。
川崎汽船は、今回のローン調達資金を、次世代型環境対応LNG燃料自動車専用船に投ずる。但し、法的には、オペレーティングリーススキームを活用し、実際に借入人はリース会社SPCとなる。
今回の融資はシンジゲート型で総額59億円。みずほ銀行がアレンジャーとなっている。トランジション・ストラクチャリング・エージェントは、みずほ銀行、みずほ証券、三井住友信託銀行。
[2021.3.16追記]
タイトルと本文を一部追記した。
【参照ページ】子会社による本邦初となるトランジションローンの契約締結について
【参照ページ】川崎汽船株式会社のトランジション・ローンに対して Green 1(T)を付与
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