日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は3月11日、東日本大震災から10年のタイミングで、記者会見を実施。福島県の浪江町に建設されたグリーン水素製造拠点に期待を見せるとともに、自動車業界のカーボンニュートラルのためにはエネルギーのグリーン化が必要と強調。電源のカーボンニュートラル化が日本のものづくりを守るためには不可欠との見通しを伝えた。
豊田会長は、自動車産業のカーボンニュートラルを実現するためには、ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点から、ものを作る、運ぶ、使う、リサイクルする、廃棄するまでの一連を含めた上でカーボンニュートラルを実現するととなると、国際基準に則した説明を展開。そのため、作る国・地域での電源に応じて排出量が変わるため、日本でも再生可能エネルギーを普及させる必要があると説いた。
(出所)JAMA
具体的には、欧州、米国、中国と比べても、日本だけが、再生可能エネルギーのコストが、火力発電よりも高いとの分析結果を図を用いて説明した。その上で、将来、再生可能エネルギーの割合が低い国では、自動車や自動車部品の生産が行いづらくなり、海外に生産がシフトする状況になってしまうと危機感を示した。
(出所)JAMA
また、日本の自動車各社の輸出状況についても図を用いて説明。現在、日本各社は合計で482万台を年間海外に輸出しており、これが全て海外に生産がシフトすると、貿易黒字は15兆円が失われ、自動車業界全体の550万人の雇用のうち、70万人から100万人の雇用が失われるだろうとした。また、欧州に比べ、日本のカーボンニュートラルの動きは遅いとの見方も示した。
豊田会長は、東北復興で、日本の自動車業界が東北地方での生産を重視してきたことを踏まえつつ、東日本大震災と同様、もしくはそれ以上に、日本のものづくりを守るための戦いが始まっていると伝え、日本のエネルギー源のカーボンニュートラル化が非常に重要との考えを披露した。
【参照ページ】会長会見 2021年03月11日
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