製薬世界大手スイスのノバルティスは2月17日、遺伝性の血液疾患である鎌状赤血球症(SCD)を治療するための単回投与のinvivo遺伝子治療の発見と開発等を支援するため、ビル&メリンダ・ゲイツ財団との間で助成金契約を締結した。
SCDは、古くから知られている遺伝性疾患で、患者数は世界で数百万人。毎年SCDの症状を持つ新生児が30万人ずつ増えている。特に、サハラ以南のアフリカ地域に80%の患者が集中している。他には、中南米、インドや、イタリア及びトルコ等の地中海地域に多い。
SCDは、赤血球が酸素を効率的に輸送する能力を低下させ、早い段階で慢性血管疾患に進行する複雑な遺伝性疾患。痛みが発生し、場合によっては生命の危険も引き起こす可能性がある。また、専門治療がないと入退院を繰り返し、患者、家族、医療制度、経済全体に大きな負担をかける上に、また最善のケアを施しても、夭折や障害をもたらしてしまうという。
今回ノバルティスとビル&メリンダ・ゲイツ財団は、患者から細胞を抽出し、実験室で細胞を改変し、骨髄移植に似た複雑な手順で患者に再導入する最新治療を、感染の多い地域に展開することを目指す。そのためノバルティスは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団は研究や検討のための資金を提供。さらに、ノバルティスは、治療法設計戦略の初期段階から、発展途上国で展開できる手法を織り込んだ策を検討する。
一方、米製薬大手ギリアド・サイエンシズは2月2日、米国最大のLGBTQ+の市民権団体であるヒューマンライツ・キャンペーン(HRC)とともに、米国のHIV感染により不当な扱いを受けた有色人種のコミュニティに対し、320万米ドルの助成金を提供すると発表した。
ギリアドは、ヘルスケアの格差をなくすためのアクションを長年実施しており、今回の施策もその一環。HRCは、HIV感染をなくし、LGBTQ+コミュニティの正当な扱いを求める社会構造、政策、法律を転換するためのアドボカシーや啓蒙活動を行っている。
【参照ページ】Novartis and the Bill & Melinda Gates Foundation collaborate to discover and develop an accessible in vivo gene therapy for sickle cell disease
【参照ページ】Gilead and the Human Rights Campaign Will Work Together to Combat HIV Epidemic and Promote Transgender Justice
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