丸紅は3月9日、グループ全体での2050年二酸化炭素ネット排出量(カーボンニュートラル)を目標として設定した「気候変動長期ビジョン」を策定したと発表した。同時に2030年に向けたアクションプランも定めた。
同社は今回、スコープ1、スコープ2、スコープ3のカテゴリー15(投資)を2050年カーボンニュートラルの範囲として設定。これにより、同社の本体、連結子会社、持分法適用関連投資先の全てでスコープ1と2をネットゼロにする。
2030年アクションプランでは、本体と連結子会社のスコープ1と2を2030年までに2019年比で50%減。その背景として、2020年9月に定めた2030年までの2018年比25%減を1.5℃目標と整合性にある形に見直した結果と説明した。その一環として、石炭火力発電の半減時期を2030年から2025年に前倒しした上で、新たに2050年ゼロを打ち出した。
一方、スコープ3のカテゴリー15に関しては2030年までに2019年比20%減で目標を設定した。その中で、新規投資による排出量増加や発電量の増減等に伴う排出量の変化、炭素回収・貯留(CCS)、水素・アンモニア混焼等の新技術による排出量の削減は上記に含めない。但し、すでに約定済みの案件については、想定排出量を加えた状態からの20%とした。そのため、排出量が大きい電源事業では売電契約締結済みで商業運転開始前の案件の想定排出量を加えたものがベースラインとなる。
また、植林等による二酸化炭素蓄積量の増大も進める。具体的には、植林地の一部拡大だけでなく、単位面積当たりの蓄積量増大や管理林の適正管理も打ち出し、現行の蓄積量1,100万tを2030年に1,900万にまで増やす。
他方、削減貢献量に関しては、カーボンニュートラルの削減分には含めず、国際基準でのカーボンニュートラルを意識していることを強く打ち出した。削減貢献量では、エネルギーシステムの構築、幅広い産業でのエネルギー需要と二酸化炭素排出量の抑制、土地利用の分野では持続可能なアグリインプット事業・森林経営などを進める。これにより、削減貢献量を増やした状態でのカーボンネガティブを目指す。
同社はまた3月5日に、ウルトラキャパシタの開発・製造事業を行うエストニアSkeleton Technologies Group OÜへ出資したことも明らかにした。ウルトラキャパシタは、高出力、高速充放電、長寿命、安全性、リサイクル性といった優れた特徴を有する蓄電デバイス。自動車、交通、建設機械、電力、産業機器等の分野で採用されている。
Skeletonは、欧州最大のウルトラキャパシタメーカーで、エストニアとドイツに開発拠点を、ドイツには製造拠点を持つ。現在、欧州と米国を中心に主要な自動車メーカーや重電メーカー等に業界最高水準の性能を有するウルトラキャパシタを供給している。同時に、蓄電容量を大幅に高める次世代製品の開発も進めており、リチウムイオン電池や鉛蓄電池の代替や、燃料電池との併用等を検討している。
【参照ページ】『気候変動長期ビジョン』 ~温室効果ガス排出のネットゼロに向けて~
【参照ページ】次世代蓄電技術を有するエストニア国Skeleton Technologiesへの出資について
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