シンガポール政府は2月10日、同国の2030年環境目標「シンガポール・グリーン・プラン2030」を公表した。また2月16日に発表した2021年度政府予算案の中にも同目標達成に関する予算を柱の一つとして掲げた。
シンガポール・グリーン・プラン2030は、エネルギー、生活、都市空間、産業、レジリエンスの5つ項目で構成。各々に定量目標等の具体的な目標を設定した。
エネルギー
- 2030年から自動車の新規登録では「クリーン・エネルギー」モデルを義務化
- 2030年までに電気自動車(EV)充電ステーションを6万ヶ所にまで引き上げ
- 2030年代前半までに鉄道距離を360kmまでに引き上げ
- 国際海運や国際航空での持続可能な燃料(SAF)利用を促進
- シンガポール・グリーンビルディング・マスタープランの改訂でサステナビリティ基準を引き上げ
- 2030年までに住宅開発庁のタウンでのエネルギー消費量を15%削減する「グリーン・タウン・プログラム」を開始
- 2025年までに太陽光発電の設備容量を1.5GW、2030年までに2GW以上に
- 再生可能エネルギー電力の海外からの調達を開始
生活
- 2030年までに学校からの二酸化炭素ネット排出量を3分の2削減
- 2030年までに学校の20%以上でカーボンニュートラルを達成
- 2030年までに通勤での公共交通機関利用率を現在の64%から75%に引き上げ
- 2030年までにサイクリングロードを現在の460kmから1,320kmに3倍に
- 2026年までに人口あたりの埋立廃棄物量を20%減、2030年までに30%減
- 住宅や産業界での節水を奨励
- 2022年第4四半期以降、地球温暖化係数の高い空調や冷蔵庫を段階的に廃止
都市空間
- 2030年までにグリーン空間を1,000ha、グリーン・ストリートを160km新設
- 2030年までに全住宅の徒歩10分圏内に公園を設置
- 2030年までに100万本を国内で植林
産業
- 地元企業のサステナビリティ経営促進のため「新企業サステナビリティ・プログラム」を始動
- サステナブルファイナンスで世界とアジアの中心になるため、カーボン・サービス・ハブになる
- ジュロン島を持続可能なエネルギー・化学パークに転換
- カーボンや省エネで世界最高峰の新規投資を呼び込む
レジリエンス
- 沿岸部と下水の洪水対策で50億シンガポールドルを支出
- 2030年までに主要な沿岸部での洪水・浸水インフラ設計と実装を完了
- 2030年までに栄養の国内自給率を現在の10%から30%に引き上げ
- 緑化と特殊塗装で都市部の熱暑を緩和
今回の予算案では、すでに発表していた190億シンガポールドルのグリーンボンドを発行をあらためて確認し、資金使途の一つとして、Tuas Nexusでの建設を進め2025年から段階的に稼働する統合廃水・廃棄物処理インフラを位置付けた。またEV充電ステーションの設置も資金使途となる。栄養自給率の引き上げでは、6,000万シンガポール規模の「アグリ・フード・クラスター・トランスフォーメーション・ファンド」を設置する。
エネルギー政策でも、低炭素技術、水素、炭素回収・貯留(CCS)に4,900万シンガポールドルの予算を確保する。
【参照ページ】Introducing The Green Plan
【参照ページ】Budget Speech
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