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【日本】Jパワー、関西電力、中国電力、2050年カーボンニュートラル表明。原発・CCUSが実質的な柱

 電源開発(Jパワー)、関西電力、中国電力は2月26日、各々の2050年カーボンニュートラル実現ロードマップを発表した。石炭火力発電電源を大量に保有する日本の大手電力会社からもカーボンニュートラルが打ち出されてきた。

 まず電源開発は、ブルー水素燃焼発電を主軸にしていく考えを見せた。電源開発の現在の電源構成は、火力発電36.9%、水力発電34.3%、風力発電2.3%、地熱発電0.1%、海外26.4%。また青森県でMOX燃料対応型の大間原子力発電所の建設を予定している。大間原子力発電所は、当初は2008年11月に運転開始予定だったが、その後計画が大幅に遅れ、現在は運転開始時期未定となっている。

 今回発表した長期戦略「BLUE MISSION 2050」では、国内の石炭火力発電について、2050年に向けて、石炭ガス化複合発電(IGCC)と炭素回収・利用・貯留(CCUS)を組み合わせつつ、バイオマス・アンモニア混焼も進めながら、老朽化したものから段階的に全廃することを明記。その代わりに既存炉をガス火力発電炉に転換しつつ、2040年頃から段階的に燃料を天然ガスから水素ガスに切り替えていくロードマープを示した。

 燃料に活用する水素ガスは、石炭(褐炭)を改質し水素を生産し、副次物として発生する二酸化炭素を炭素回収・利用・貯留(CCUS)技術で回収するブルー水素を本命とした。理由としては「安価な石炭を利用することで、水の電気分解に比べてコスト競争力の高い水素製造を目指す」と説明。一方、再生可能エネルギー電力による水電解型のグリーン水素については、「地理的制約のある日本では再生可能エネルギーでのCO2フリー水素製造には限界」があるとの見解を示した。

 ブルー水素生産では、大崎クールジェンプロジェクトのように、海外から石炭を輸入し、日本でブルー水素を生産する手法と、豪州褐炭水素パイロット実証プロジェクトのように海外で生産したブルー水素を海上輸送する手法の両方を視野に入れる。回収した炭素は、農業利用等も検討するが、政府の政策と連携させたい考え。

 それ以外には、再生可能エネルギーと増設と、大間原子力発電所の稼働も盛り込んだ。各々の将来の電源構成については不明。
 
 課題となっている送電網については、IGCCを活用することで、再生可能エネルギーが不安定にする系統を安定化できるとを説明。電源でIGCCを重視する意義につなげた。広域連携については、政府と足並を揃える。
 
 関西電力では、2050年に向け、既存の火力発電については、バイオマス・アンモニア混焼も進めながら、最後は炭素回収・利用・貯留(CCUS)に頼る構想を示した。原子力発電は、再稼働させつつ、次世代軽水炉、高温ガス炉、SMR(小型モジュール炉)等を視野に入れるとした。再生可能エネルギーでは、国内外での洋上風力発電に言及した。

 さらに水素エネルギーについては、ブルー水素ではなく、グリーン水素を本命とした。同時に原子力発電での電力や熱エネルギーを活用して水電解する「イエロー水素」も打ち出した。グリーン水素生産のための再生可能エネルギー発電の強化に関する記述は薄く、イエロー水素を主力としたい意向もにおわせた。

 中国電力は、2050年までに低効率石炭火力発電を全廃しつつ、再生可能エネルギーを2050年までに300MWから700MWにまで増強。高効率石炭火力発電については、バイオマス・アンモニア混焼も進めながら、最後は炭素回収・利用・貯留(CCUS)に頼る構想で、関西電力と同じ。それ以外は、原子力発電の再稼働と次世代技術の開発。水素燃焼発電については、大崎クールジェンプロジェクトに言及し、ブルー水素寄りの姿勢を示した。

【参照ページ】J-POWER 「BLUE MISSION 2050」
【参照ページ】関西電力グループ「ゼロカーボンビジョン2050」の策定について
【参照ページ】中国電力グループ「2050年カーボンニュートラル」への挑戦

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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