英最高裁判所は2月19日、タクシー配車アプリ世界大手の米Uberが、タクシードライバーを従業員ではなく、独立事業者と扱って来たことが係争されていた案件で、Uberの契約ドライバーを従業員として処遇する最終判決を下した。Uber側の敗訴が確定した。
今回の事案では、Uberは敗訴するたびに上訴を続けたが、一貫して敗訴だった。2016年10月28日に労働裁判所の役割を果たす雇用審判所での一審でUber側が敗訴。2017年に雇用控訴審判所は一審判決を支持しUberが敗訴。Uber側は控訴院に上告したが、2018年12月に敗訴。そして、今回、最高裁判所でも敗訴した。
【参考】【イギリス】Uber、タクシードライバー従業員地位を巡る控訴院裁判で敗訴(2018年12月26日)
英最高裁では、6人の判事が全会一致で契約ドライバー側勝訴の判断を下した。今回の最終判決により、Uberの運転手はUberの従業員として、英国の最低賃金、有給休暇等の権利を有することになる。また、判決では、Uberが契約ドライバーに対し、契約社員としての処遇を強要する契約を交わしていたこと慣行についても非難した。
今回の最高裁判所での棄却判決を受け、事案は雇用審判所に差し戻され、Uber契約ドライバーに対する補償金額が決定される。対象となるドライバーは2,000人以上になると見られている。但しUber側は、補償の対象は、提訴に加わった少数のドライバーに限定されるとの見方を主張。対象者の定義に関する係争に発展する可能性もある。今回の提訴は、約20人のドライバーを代表して、2人のドライバーが実施していた。
Uber契約ドライバーのように、デジタル・プラットフォームによって生み出された「ギグワーカー」と呼ばれる労働者に関しては、他の国でも同様の争議を抱えている。オランダでも2月16日、控訴裁判所が、フードデリバリーDeliverooの契約配達員を、フリーランサーではなく、従業員とみなすべきという判決を下した。Deliverooは、最高裁判所に上告する意思を示している。Deliverooは2017年に配達員を全てフリーランサーにすることを表明。フリーランサーにすることで自由な働き方ができるようになるとプラス面を強調している。
【参照ページ】Uber BV and others (Appellants) v Aslam and others (Respondents)
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