【国際】フォード、欧州で乗用車販売をEV・PHVのみへ。出光は超小型EV開発。EV100加盟企業も101社に

　自動車世界大手米フォードは2月17日、2030年までに、欧州市場での販売乗用車車種を電気自動車（EV）とプラグイン・ハイブリッド車（PHV）のみに限定し、ガソリン・ディーゼル車の販売を止める計画を発表した。2026年中旬までに全車種でEVもしくはPHVモデルを欧州市場に投入する。

　同社は今回、商用車でも目標を発表。欧州市場では2024年までに全商用車種でもEVもしくはPHVモデルを投入し、2030年までの販売商用車に占めるEVもしくはPHVのシェアを約67%にまで高める。フォードは、欧州での商用車市場にも注力しており、2020年には6年連続で売上増を記録。フォルクスワーゲンともパートナーシップを締結。トルコでは、コチ財閥との折半合弁フォード・オトサンも展開している。

　同社は今回、2025年までにEV技術のために世界全体で220億米ドル以上（約2.3兆円）を投資すると発表。以前表明していた投資額の約2倍にまで引き上げる。欧州では、同社の欧州最大級のドイツ・ケルン工場の生産ライン転換にすでに10億米ドル（約1,100億円）を投資している。2023年までにケルン工場ではEVの量産化を開始し、現在第2工場の場所も検討している。

　日本では、出光興産が2月16日、超小型EV等の開発で、タジマモーターとの合弁会社「出光タジマEV」を2021年4月に設立すると発表した。初の新型車両を2021年10月に発表し、2022年の上市を予定している。タジマモーターは、キャンピングカー等の開発実績があり、EVパーツの開発も進めている。

　出光興産は今回、岐阜県飛騨市・高山市と、千葉県館山市・南房総市で、2年間実証実験を行った結果から、高齢者層には免許返納に伴う移動のニーズが急増していることを確認。また、運転経験が浅い層は、日々の買い物や子供の送り迎えに自動車を利用することに不安があり、自転車や原付に代わる雨風を凌げる安全で安心な移動手段に対する需要があると判断した。また移動距離が極めて短いため、軽自動車より低い性能でも十分だという。需要規模は年間100万台と見積もった。

　出光タジマEVはまず、2020年9月に国土交通省が発表した超小型モビリティの新規格に準拠した新たなカテゴリーの超小型EVを開発する。4人乗りで、最高時速は60km/h以下、充電時間は8時間（100V）。ゴルフカートを一回り大きくしたサイズ。

　EVの需要側では、国際環境NGOのThe Climate Groupは2月17日、2030年までに事業運営に関係する車両を電気自動車（EV）に転換する国際イニシアチブ「EV100」の2021年度の年次報告書を発行した。発行は今年で3年目。EV100の加盟企業は101社。1年間で34社増えた。EV100に加盟している日本企業は、イオンモール、アスクル、東京電力ホールディングス（TEPCO）、NTT、高島屋の5社で昨年からの増加はゼロ。

　EV100の加盟企業全体では、2020年には前年比111%増となる合計16.9万台のEVを新規導入。EV充電器の設置数も前年比84%増の2,100台となった。2030年までの将来コミットメントでは、前年比80%増の480万台。EV充電器の設置数も6,500台と前年比103%増となった。EV導入による二酸化炭素排出量削減効果は、7,500万tにまで積み上がる見通し。

【参照ページ】FORD EUROPE GOES ALL-IN ON EVS ON ROAD TO SUSTAINABLE PROFITABILITY; COLOGNE SITE BEGINS $1 BILLION TRANSFORMATION
【参照ページ】年間100万台の潜在需要に相当する新カテゴリーのモビリティを提供へ「株式会社出光タジマEV」を設立
【参照ページ】EV100 Progress and Insights Report 2021
【参照ページ】Corporate Action on electric vehicles doubled in 2020 -new report
【画像】Ford

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