国連環境計画(UENP)は1月24日、2月22日から開催される第5回国連環境総会(UNEA)に先立ち、農業での農薬及び肥料の使用を最少化することに関する各国政府向け政策文書案を公表した。気候変動や生物多様性の観点から、農薬と肥料の削減を極限まで減らす国際的な動きが広がろうとしている。
農薬と肥料の使用最少化に関しては、2017年の国連環境総会での決議の中で、UNEPに対し、肥料と農薬使用の環境及び健康へのインパクトに関するレポートを、世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)とともに作成することを指示。第5回国連環境総会に提示されることとなっていた。
同報告書では、人口増加や食生活スタイルの変化により、食料需要が増加する中、肥料と農薬は重要な役割を果たしてきたことを認識しつつ、近年、環境や健康面での悪影響に関心が集まっていることに留意。持続可能な農業アクションは増加しているものの、まだ局部的に留まっているとの認識を示した。窒素とリンでは、プラネタリー・バウンダリーを超えてしまっていると言及した。
対策面では、穀物生産を抜本的に改め、生態系に基づくアプローチを採用することや、栄養循環の促進、環境重視製品のレベルプレイングフィールドの確保、持続可能な農業へのファイナンス促進、農薬・肥料使用でのライフサイクルアセスメント(LCA)、持続可能なサプライチェーンの基準強化、国際的な農薬アセスメント、低リスク農薬やバイオ保護剤の開発や販売の優先、農薬の拡大生産者責任(EPR)等を列挙した。
最後に、各ステークホルダーの協調が重要と指摘。国際社会での目標を掲げ、それに合わせて政府や企業等が一体となってアクションを起こすことに重点を置いている。
同政策案は、各国からの意見を取りまとめた上で、最終決定される。
【参照ページ】Environmental and Health Impacts of Pesticides and Fertilizers and Ways of Minimizing Them
【文書案】Summary for Policymakers (Advance Draft)
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