IT世界大手米フェイスブックは1月28日、人権に関する監督理事会での初の審議案件の判決を発表した。同社は、SNS投稿での偽情報・ヘイトスピーチや表現の自由等の難しい人権問題への対応で2019年に同理事会を創設し、審議とパブリックコメント募集を通じて慎重に判断を下す体制を敷いている。監督理事会は、フェイスブックとは別の法人として運用され、判決内容はフェイスブック経営陣の意思決定を拘束する。
【参考】【アメリカ】フェイスブックの独立人権監督理事会、初の審議案件発表。人権勧告進捗報告書も発行(2020年12月29日)
【参考】【国際】フェイスブック、人権の監督理事会委員20人発表。アジア・アフリカからも。決定は拘束力持つ(2020年5月8日)
【参考】【アメリカ】フェイスブック、人権分野の監督理事会を独立法人として設置。SNSコンテンツの問題を判定(2019年12月18日)
今回の判決では、フェイスブックの判断に対し、ユーザーが監督理事会に持ち込まれた5件の審議案件に対し決定が下された。5件のうち4件はフェイスブックの決定を却下。1件のみはフェイスブックの決定を支持した。但し、監督理事会は、いずれの案件についても、判断が難しい複雑な案件だったとコメントした。また今回、パブリックコメントで寄せられた意見についても公表した。
フェイスブックの決定が支持された案件は、アゼルバイジャン人に対しロシア語の単語をもじった用語で侮辱した投稿が、フェイスブックの利用規約に違反するヘイトスピーチと判断され、投稿が削除された案件。監督理事会はヘイトスピーチに該当すると最終判断した。
他の4件については、乳がんに関する投稿でニップレスの女性画像が掲載された投稿や、中国新疆ウイグル自治区での拘束問題についてのフランス語での風刺漫画の投稿、ドイツの旧ナチのゲッベルス国民啓蒙・宣伝相の格言を掲載した投稿、新型コロナウイルスへの対応策を欠くフランス政府を揶揄する内容の投稿等。いずれもフェイスブックは、利用規約違反で削除したが、監督理事会は、利用規約違反には当たらないと判断した。
フェイスブックは、今回の判決を受け、4件のうち3件についてはすでに投稿を復活させた。また残り1件の乳がんの投稿については、誤って削除したことを事前に認めており、審議の前に投稿は復活されていた。
監督理事会によると、2020年10月の案件持ち込み開始以降、すでに15万件を超える案件が寄せられているという。監督理事会は、多くの案件の判断に影響を与えると考えられる案件を優先し、今回5件の判決を下した。また、簡易な案件については、委員全員が参加する大委員会での審理ではなく、5人の小委員会での審理を行うことも決めた。5人の構成は、1人以上が当該地域からの委員を選び、またジェンダーバランスも考慮される。
【参照ページ】Responding to the Oversight Board’s First Decisions
【参照ページ】Announcing the Oversight Board’s first case decisions
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