信用格付世界大手米ムーディーズは1月18日、同社が新たに開発したESG評価手法が、国債の信用格付に与える影響を分析したレポートを発表した。同社は最新の手法を2020年12月に発表し、セクター横断でESGを包括的に分析する体制を整えている。
同社は、2019年1月に「ESGリスク評価の一般原則」を策定し、2020年12月に同原則を大幅に改訂している。新手法では、各債券発行体に、各ESG分野のエクスポージャースコア「発行体プロフィール・スコア(IPS)」と、ESGが信用格付に与える影響を評価した全体スコア「ESGクレジット・インパクト・スコア(CIS)」の2つを付与。今回は国債を対象に、同手法が信用格付に与えた影響を測った。
まず全般的な影響としては、「ポジティブ」から「非常にネガティブ」まで多様なインパクトを与えるものの、ESGスコアは、信用格付を押し下げる方向にあることが明確となった。特にESGのうち環境と社会のリスクは大きな格下げ圧力となり、しばしばガバナンスリスクも組み合わさって格下げ効果をもたらした。
ESG個別では、環境リスクは、格下げ効果が出たとともに、よくて中立の状況。先進国ではエクスポージャーが「中立」から「低位」だったのに対し、新興国の40%は、エクスポージャーが「大いにネガティブ」「非常にネガティブ」に属していた。原因は、気候変動の物理的リスク、水リスクが多く、気候変動移行リスクは少数。その上、ガバナンスや財政状況が悪ければ、格下げインパクトは大きくなった。
社会リスクは、新興国で「しばしばネガティブ」「大いにネガティブ」が多く、内容では労働・所得、教育、住宅、健康・安全、基礎的サービスに関するものがマイナスに響いていた。
ガバナンスリスクは、先進国では一般的に評価が高かったが、新興国では評価が分かれていた。
【参照ページ】Moody's - New scores depict varied, often credit-negative impact of ESG factors for sovereigns
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