キリンホールディングスは2月5日、ミャンマーで国軍が武力で国家権力を掌握したことに伴い、軍関連企業との事業提携を解消する方針を発表した。今後対応を早急に進める。
ミャンマーは、2010年以降軍政からの民主化が進み、2015年にはアウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)が総選挙で圧勝を収め、NLD党首のアウン・サン・スー・チー氏が国家顧問、外務大臣、大統領府大臣を兼任する体制となった。民主化を受け、日本政府はミャンマーを安全保障上の重要地域と位置づけ、積極的な経済支援策を展開。日本企業の進出も進み、その一環として、キリンホールディングスは2015年8月、ミャンマー市場において約8割のシェアを有するMyanmar Brewery Limited(MBL)の発行済株式総数の55%を取得していた。
現在、同社は、軍関連企業と目されるミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)との間で、Myanmar Brewery Limited(MBL)とMandalay Brewery Limited(MDL)の2つの合弁企業を展開している。しかし、国軍がロヒンギャに対する民族浄化を実施する中、MEHLが国軍等に献金をしているとの発表が2018年に人権NGOアムネスティ・インターナショナルからあり、その後、同社のミャンマー事業は、人権問題からのアラートがなり続けている状況だった。
【参考】【ミャンマー】キリン、合弁先の人権侵害調査でデロイトの情報不十分で結論出ず。英国ではボイコット運動に発展(2021年1月17日)
今回の発表では、国軍が政権を掌握したことについて「大変遺憾」とし、「今回の事態は、当社のビジネス規範や人権方針に根底から反するもの」と明言した。その上で、「国軍と取引関係のあるMEHPCLとの合弁事業の提携自体は解消せざるを得ません」と説明した。
【参照ページ】ミャンマーの現状に関する当社の対応について
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