米人権NGOヒューマン・ライツ・キャンペーン財団(HRC)は1月28日、企業のLGBTQに対する差別撤廃を評価する今年度結果「企業平等指数(Corporate Equality Index、CEI)」の2021年版結果を公表した。回答した1,142社のうち、767社が満点の100点を獲得した。
CEIは、LGBTQに対する職場の公平性を示すベンチマークとして2002年にスタート。HRCは、LGBTに「Q」を足した「LGBTQ」の用語を近年用いている。「Q」はQuestioning(クエスチョニング)やQueer(クィア)の意で、既存の性のあり方に左右されない志向の人を指す。米国企業や法律事務所ではますますLGBTQの差別をなくす動きが広がってきている。同調査では、フォーチュン1000入りしている米大手企業1,000社とAmLaw200入りしている米大手法律事務所を対象に毎年質問票を送付し、回答に基づきスコアリングしている。対象外の企業も、米国での従業員数が500人以上いれば質問票の送付を要求できる。今年は1,142社が回答した。
評価の観点は、企業の差別禁止方針、従業員の給与や人事制度待遇、LGBTQのダイバーシティ・インクルージョンに関する企業のコンピテンシーと責任、LGBTQ平等の公式コミットメント、市民責任の5つ。一昨年の調査からは満点の条件に、性的指向や性別認識に基づく差別を撤廃する方針や行動規範をグローバルに定めていることが加えられ、基準が厳しくなった。
今年の結果は、回答した1,142社のうち、767社が満点の100点を獲得。満点獲得企業は、昨年の686社から増加した。フォーチュン500企業のうち性的志向による差別の撤廃を公式に標榜する企業も、2002年には3%だったが、今回は99%にまで増えた。またフォーチュン500企業のうち91%(2012年時は0%)は、一部の事業国では、トランスジェンダーの従業員にも、同等に医療福利厚生制度を適用していた。
今年のCEIでは、フォーチュン500企業のうち、質問票に回答しなかった企業についても、公開情報をもとに評価を行い、企業に個別に結果がフィードバックされた。
米国ではLGBTQの権利は差別禁止法で明示的には保護されていない。オバマ政権時代に策定されたLGBTQ権利保護を設けたが、トランプ政権以降次々と白紙撤回された。HRCは、LGBTQの権利を法的に保護する平等法(Equality Act)制定を推進する「Business Coalition for the Equality Act」を運営しており、現在、米国大企業325社が加盟している。
バイデン大統領は1月20日、LGBTQ差別を撤廃するための法令チェックと対策立案を全連邦政府機関に命ずる大統領令に署名。連邦議会との調整を進め平等法の制定も早期に目指す考え。
【参照ページ】Corporate Equality Index 2021
【参照ページ】Executive Order on Preventing and Combating Discrimination on the Basis of Gender Identity or Sexual Orientation
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