機関投資家の気候変動アクション・イニシアチブClimate Action 100+(CA100+)は1月27日、航空セクター向けの機関投資家の期待をまとめたレポートを発表した。同団体として個別業界の戦略文書を発表したのは今回が初。
今回のレポートは、Climate Action 100+が2020年12月に発表した「Climate Action 100+ ネットゼロ企業ベンチマーク」を基に、航空セクター向けのカーボンニュートラル期待をまとめたもの。航空セクターに対しては、新型コロナウイルス・パンデミックが本格化する前の2020年2月に、Climate Action 100+の運営機関の一つ、国連責任投資原則(PRI)が航空宇宙業界向けの投資家期待をまとめた文書を発表しているが、その内容も基となっている。実際に今回のレポートもPRIが中心となってまとめた。
【参考】【国際】機関投資家団体CA100+、企業のカーボンニュートラル評価ベンチマーク発表。日本・中国企業でも進展あり(2020年12月28日)
航空業界は、世界の二酸化炭素排出量の2.5%を占め、オーストラリアやカナダと同等の排出規模となっている。さらに航空業界全体では、世界の経済発展とともに需要は拡大するとともに、ジェット燃料を活用する航空セクターは容易には削減が可能ではない分野と目されている。
同レポートでは、アクション、ガバナンス、情報開示の3点から、今後機関投資家と企業とのエンゲージメントでの活用を念頭に、投資家の期待をまとめた。アクションでは、スコープ3まで含めた排出量の2025年、2036年、2050年の3段階での削減目標の策定、目標達成のためのアクション設定、目標アクションと設備・R&D投資の整合性の説明を求めるとともに、持続可能なジェット燃料(SAF)、省エネ技術、新たな推進力技術の開発を支持し、SAFへの切り替えを積極的に行うよう求めた。また二酸化炭素以外の温室効果ガスの状況についても調査するよう求めた。
ガバナンスでは、気候変動課題に詳しい取締役の選任、政策ロビー活動の透明性を、情報開示では気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインに基づく情報開示を要求。シナリオ分析もすべきとした。
【参照ページ】Climate Action 100+ releases first sector strategy focused on aviation
【レポート】CLIMATE ACTION 100+ SECTOR STRATEGY: AVIATION
【参照ページ】INVESTOR EXPECTATIONSON CLIMATE CHANGE FOR AIRLINES AND AEROSPACE COMPANIES
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