EU加盟国閣僚級のEU理事会は1月25日、共通外交政策「気候・エネルギー外交 -欧州グリーンディールの域外展開」を採択。気候変動を人道の危機と位置づけた上で、気候変動外交と安全保障外交を一体化し、対外諸国に対し気候変動を強力に求めていくことを決定した。
今回のEU理事会は、EUエネルギー外交では、グローバル規模でのエネルギー転換の加速や省エネ技術と再生可能エネルギー技術の促進を最優先目的として設定。野心的なカーボンニュートラルへの道筋を持たない国に対し、化石燃料関連のインフラプロジェクトへの投資を抑制した上で、既存の化石燃料関連インフラからの二酸化炭素排出量を削減するよう要求していく方針も固めた。特に、炭素回収・貯留(CCS)設備を搭載していない石炭火力発電については、発展途上国も含めて段階的に廃止することを要求し、メタンガスの削減でも国際イニシアチブを立ち上げることを決めた。
これらは、EUが域内で二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を2050年までに達成することを掲げた戦略「欧州グリーンディール」を、自国内に留まらず、外交を通じEU域外でも拡大していくというもの。
EUは今回の決定において、カーボンニュートラルを実現することがエネルギー安全保障やその他の国防につながるという論理を鮮明にしている。国連と連携しつつ、国際的な連携をさらに強化する枠組みをEU主導で整備していく意気込みを見せた。
EU域内に関しては、欧州委員会が同日、企業を対象とする「グリーン消費誓約」を新たに発足させた。同協定は、署名企業に対し、サプライチェーンのカーボンフットプリント算出、主要商品のカーボンフットプリント算出、持続可能な製品・サービスの販売増、持続可能なアクションを促す企業広報支出増、算出した情報の開示の5つを義務化している。第1号企業として、ロレアル、レゴ、デカトロン、リニュード、コルリュイト・グループの5社が署名した。
欧州委員会は、様々なアクターに対し、カーボンフットプリント削減を求めるため、消費者の自発的な行動変化を求めるキャンペーン「新消費アジェンダ」を2020年11月に開始。その一環で、2020年12月に気候変動対策の気運を高めるEU市民キャンペーン「欧州気候協定」をスタートさせた。これらは、今回の企業向けの「グリーン消費誓約」と活動を連携させていく。
【参照ページ】Council adopts conclusions on climate and energy diplomacy
【参照ページ】European Commission launches Green Consumption Pledge, first companies commit to concrete actions towards greater sustainability
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