英ESG投資推進NGOのShareActionは1月10日、英金融大手HSBCに対し、気候変動方針の強化を求める株主提案を提出した。英国、デンマーク、スウェーデンから100以上の投資家が共同提案に参加した。4月に開催される株主総会で議案として扱われる。
ShareActionが、機関投資家とともに、英国の銀行に気候変動関連の株主提案を提出するのは今回で2回目。2020年1月8日にも、英金融大手バークレイズに対し、気候変動方針の強化を求める株主提案を提案していた。
【参考】【イギリス】機関投資家11団体19兆円、バークレイズに対し気候変動方針強化で株主提案を共同提出(2020年1月10日)
今回の株主提案に参加した機関投資家は、アムンディ、マン・グループ、仏郵便貯金銀行アセット・マネジメント(LBPAM)、サラシン&パートナーズ、ケンブリッジ大学・トリニティ・カレッジ、AkademikerPension、Folksam、Brunel Pension Partnership, Friends Provident Foundation、Islington Pension Fund、Jesuits in Britain、Marmot Charitable Trust、Merseyside Pension Fund、Rathbone Investment Management、The 1970 Trust。
ShareActionは今回、HSBCに対し、パリ協定の国際目標と整合性のある化石燃料事業融資の削減目標に向けて、短期、中期、長期それぞれの目標を策定し、公表することを要求。また、2022年以降は、アニュアルレポートのでに、当該目標に対する進捗報告について、使用したフレームワーク、メソドロジー、所要期間、仮説の要約も記載することを求めた。4月の株主総会での可決には、75%以上の賛成が必要。
HSBCは2020年10月に、2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)という、パリ協定に基づく国際目標と整合性のあるファイナンスを実施することを宣言している。
【参考】【イギリス】HSBC、2030年までに気候変動ファイナンス105兆円。投融資先に脱炭素化求める(2020年10月14日)
しかしShareActionは、HSBCが目標達成に向けた具体的な戦略を公表していないことを問題視。NGOレインフォレスト・アクションネットワークによると、HSBCは、化石燃料分野へのファイナンス額で欧州で2番目に大きい。2020年には、HSBCのほかにも、世界で最も化石燃料事業へのファイナンスを行う米JPモルガン・チェース等、多くの銀行がカーボンニュートラル宣言を行っており、この潮流は2021年にも続くと予想されるが、カーボンニュートラル目標宣言とともに具体的なアクション提示がなければ、それは単なる企業のPR活動に過ぎないと激しく非難している。
一方、ShareActionは今回のHSBC宛の提案書の中で、パリ協定の国際目標と整合性のある化石燃料事業融資の削減に向けて「野心的」な取り組みを行っている大手銀行の例として、ウニクレディト、クレディ・アグリコル、BNPパリバ、ナットウエスト傘下ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBC)を紹介している。
【参照ページ】We’ve filed a climate resolution at HSBC – here’s why
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